イラン政権健在?テヘランで壮大な国葬:在イランユダヤ人たちに危機・35人以上逮捕 2025.6.30

Mourners on Saturday in Tehran during a funeral procession for some of those killed in the recent war with Israel.Credit...Arash Khamooshi for The New York Times

イラン政権健在?テヘランで壮大な国葬

イスラエルとイランの停戦が発効してから明日で1週間になる。イランでは、6月28日(土)、テヘランで、イスラエルの攻撃で殺害された、60人以上の上級軍事指揮官と核科学者のための壮大な国葬を行った。

www.ynetnews.com/article/h1crkbt4ee

参加者は数千人で、「アメリカに死を、イスラエルに死を」と叫んでいる。イランが核兵器レベルにまでウラン濃縮を高めて、約束に違反したと指摘したIAEAのグロッシ代表へも非難の声を上げていた。

なお、イランは、この戦争で705人が死亡したと主張。特に、このうちの71人は、イスラエルが攻撃したエヴィン刑務所での死者であり、逃げようのない人々を殺害したと非難している。

www.ynetnews.com/article/sjbbyz64el

ハメネイ政権は健在か否か

イランの核施設への破壊の度合いについては、イスラエルは、イランは、今後少なくとも数年間は、核開発に戻れないと見ている。

一方、IAEAや世界からは、今もイランが数ヶ月で回復するという情報も出て、まだ二転三転している。実際どうなっているのかは、これからのイランの動き見ていくしかないだろう。

そのイラン政権だが、最高指導者ハメネイ師が、6月27日(木)、イランがまだ健在であることを強調する声明を出した。

これを受けて、トランプ大統領は、27日(金)、ハメネイ師の強気表明は、愚かだと非難。イランに課している経済制裁撤廃を検討していたが、ハメネイ師の発言を聞いて、それを止めることにしたと発表した。

また、実は、イスラエル軍とアメリカ軍がハメネイ師を暗殺しようとしたのを止めたのだとも述べた。これにつぃては、イスラエルのカッツ国防相は、その機会がなかったと言っていた件である。

トランプ大統領は、今週中にもイランとの交渉再開を表明していたが、その気配はない。トランプ大統領自身も、イランとは今は何のオファーもしていないと行っている。

www.timesofisrael.com/trump-says-he-saved-khamenei-from-very-ugly-and-ignominious-death-during-war/

そのイランのハメネイ政権だが、戦争中から戦後も、イスラエル(モサド)に協力した疑惑のある人々を連行しており、その数700人にのぼると伝えられている。

停戦に入った後も、政権に反対意見を持つ者を逮捕し続けており、戦争中に逮捕された人も含め、1000人は超えているとみられている。これまでに少なくとも男性6人が処刑されたとのことである。

恐怖の中にいる在イランユダヤ人たち:すでに数十人が警察に連行

イランには、今もまだ約9000人のユダヤ人が住んでいる。イスラエル以外の中東諸国では最大のユダヤ人コミュニティである。

ほとんどはテヘランに住んでおり、一部は、イスファハン他、2つの町にも、小さいコミュニティがある。テヘランには、シナゴーグが31あり、20は、活動できているという。

またイスラム政権前には、厳格なユダヤ人学校が20校あったが、今の政権になった後も、5校が運営を続けている。

この人々は、確かにユダヤ人だが、国家としてのイスラエルには批判的で、1979年に強硬なイスラム政権になった後も、イランへの忠誠を公にしている。

6月13日に、イスラエルとイランが戦争に突入すると、まもなくこのユダヤ人コミュニティは、「イスラエルとはいかなる連携も拒否する。イラン政府への絶対的な忠誠を誓う」との声明を発していた。

以下は、テヘランのシナゴーグで、イスラエルの攻撃を非難するとの宣言を出した時の様子

 

このように、イラン在住のユダヤ人は、反イスラエルであり、イラン政府には忠誠を強調しているのだが、やはり、ユダヤ人だということで、これまでに少なくとも35人が、警察に連行され、モサドとの協力はないのか尋問を受けているとのこと。

Times of Israelによると、イラン人女性の証言として、数日の間に、イラン在住ユダヤ人10人(女性6人、男性4人)が連行されていくのを目撃したと伝えている。

その後女性6人は釈放されたが、ラビを含む男性4人はまだ釈放されていない。

連行されたら死ぬかもしれないと、ユダヤ人たちは震え上がっているとのこと。

www.timesofisrael.com/dozens-of-iranian-jews-said-summoned-for-questioning-on-suspicion-of-having-ties-to-israel/?utm_campaign=most_popular&utm_source=website&utm_medium=article_end&utm_content=4

石のひとりごと

ユダヤ人、またユダヤ教も多様である。イスラエルの国は、確かに再建されると聖書に書いてあるが、それは、純粋に神が設立するはずであり、人間の手でそれを実現することは間違っていると考えるユダヤ人もいるのである。

そういうユダヤ人は、今のイスラエル国家を否定する。まさかのイラン支持であり、今のイスラエルが崩壊することも悪いとは思っていないのである。

一方、アメリカには、人道主義的にイスラエルを受け入れられないとするユダヤ人の若者が増えている。この人たちもイスラエルに批判的である。

しかし、時が進むにつれて、結局、ユダヤ人が安心して生きていける場所は、イスラエルしかないということになっていくだろう。

この人々にとってはへりくだりの時になると思うが、イスラエルは、こういう人も含め、ユダヤ人だからというだけで、受け入れることは間違いない。早く目が開かれて、イスラエルに移動できるようにと祈る。

 

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。