イラン攻撃継続中・1―2週間で目標達成みこみとIDF:戦後の安定と繁栄を語るヤアコブ・アミドロール元IDF少将 2025.6.19

Illustrative: Technicians work at the Iranian Arak heavy water reactor, 150 miles southwest of the capital Tehran, on December 23, 2019. (Atomic Energy Organization of Iran via AP)

イスラエルは手を抜くことなく、イラン、またテヘランへの攻撃を続けている。目標は、①イランの核の脅威をなくすこと、②イランの弾道ミサイル機能を無力化することである。

先が見えない中、IDFは、これらが1―2週間以内に達成するとのみこみと表明している。

イスラエルのイラン攻撃の2つの目標について

1)目標①:イランの核兵器機器をなくす:19日(木)アラク重水原子炉攻撃

目標①については、ナタンツや、イスファハン、ファルドーなど重要な施設はじめ、イラン全国に40か所あるとされる核施設の地上施設や電力供給施設など、できる限りの攻撃を続けている。

今日19日(水)には、イラン西部の重水原子炉があるアラクへの避難警告を出し、その後攻撃を実施した。

アラクでの核濃縮が2度とできないような破壊を実施したとのことである。

www.timesofisrael.com/idf-strikes-irans-arak-heavy-water-reactor-natanz-site-used-for-nuclear-development/

最重要の核施設ファルドーは、あまりに地下深いので、最終的にはアメリカの協力がなければ完全な達成はできないといわれている。

今、トランプ大統領が腰を上げそうで、上げなさそうで、やっぱり上げるか?という状況にある。別項に挙げているように、徐々にその準備体制には入っているようである。

2)目標②:イランのミサイル能力をなくす

②については、イスラエルは、予想以上の早く、イラン上空を制圧できたことから、弾道ミサイル発射地やミサイル倉庫などへの攻撃を続けており、これまでにイランが保有する40%ぐらいは破壊したと推測されている。

今もまだ、イランからのミサイル発射は続いているが、市街地への着弾は発生しておらず、死傷者も出ていないことから、ホームフロント(国内前線)は、昨日から、30人までの集会を許可するなど、若干の規制緩和に踏み切っていた。

エルサレムでは、旧市街は、嘆きの壁含め、ほとんどからっぽ状態だが、マハネイ・ヤフダ(オープンマーケット)は営業しており、買い物をする人、お茶を飲む人もみられている。

しかし、その後で、今19日朝の攻撃で、ベエルシェバに大きな被害が出たということなので、また指示が変わるかもしれない。

こうした状況からイスラエル軍は、①②の目標は、この1―2週間で達成するとみていると発表していた。

www.timesofisrael.com/israel-will-achieve-its-goals-against-iran-within-a-week-or-two-idf-officials-say/

イランのハメネイ政権打倒の意図は?

イスラエルは、今のところ、現イラン政権の打倒は目標ではないとしながらも、最高指導者ハメネイ師の暗殺や、結果としてハメネイ政権が崩壊することも除外してはいない。イラン国民がイラン政権を打倒することも歓迎するとしている。

また、イスラエルは、イランの国営放送を攻撃し、警察署も攻撃の対象とした。イラン政府の象徴とみなされる地点への攻撃と破壊も続けている。

また、18日(水)、イランのテレビから、2022年に女性たちが、イスラムの規制を押し付ける政府に反発して、通りに出た時のクリップが流された。イランは、イスラエルがテレビ局をハッキングして、これを全国に報道し、反政府運動を先導しようとしたと非難した。

www.timesofisrael.com/iran-blames-israel-for-hacking-state-tv-broadcast-with-calls-for-uprising/

なお、19日(木)、ベエルシェバの病院が攻撃されたことを受けて、カッツ国防相が、ハメネイ師の暗殺に直接言及している。

www.jpost.com/israel-news/article-858269

ヤアコブ・アミドロール退役少将:予想外に明るい戦後予想

ヤアコブ・アミドロール元IDF少将は、治安分析でトップクラスの信頼ある専門家である。

今起こっていることについて、ブリーフィングを行った。以外にも明るい未来像を語っていた。

まず、アミドロール氏は、今回のイスラエルの攻撃について、驚いてないことと、驚いたことがあると語った。

驚かなかったと言っているのは、イランからの弾道ミサイルで、イスラエル国内に被害が出ると言うことである。これはイスラエル軍もある程度覚悟していたと語る。今、ベエルシェバへの攻撃が報じられているが、IDFが慌てることはない。

一方で、アミドロール氏が驚いたのは、あまりにも早く、イラン上空を制圧したことである。今イスラエルは、イランの攻撃を心配することなく、首都テヘラン含め、イラン全国を反撃されることなく、どこでも攻撃できる状態にある。これまでのところ、イスラエル空軍機が、地対空ミサイルで、撃墜されたという報道はない。

この驚くべきことの背景には、ハマスとの交渉を担当していたモサドのバルネア長官が、その背後で、イランにおける優れた諜報活動と空軍との絶妙な連携をおこなっていたことが功をそうしたのであり、Times of Israel はそれを評価する記事を出している。

www.timesofisrael.com/quietly-transforming-mossad-david-barnea-paved-the-way-for-triumph-in-iran/

核施設ファルドーの破壊について、アメリカが協力するかどうかは、アメリカが決めることだと強調。イスラエルはそれだけに依存していないと語る。アミドロール氏は、予想よりも早く、イラン上空を制圧できたことから、ファルドーをイスラエル自身が破壊する可能性もゼロではないと語っている。

ただ、アミドロール氏は、今のイランには、シリアのように、ハメネイ政権にとって変われるような、反政府の組織はないと語る。ただ、まだ知らないところから出てくるかもしれないので、可能性としては否定はしなかった。

最後に、アミドロール氏は、この戦争の後、イスラエルは、これまでになかったような平穏と繁栄を経験することになるだろうと語った。

イエメンのフーシ派は残るかもしれないが、ヒズボラ、ハマスもイランなしでは、弱体化する。中東全域が、イスラエルへの恐れを持つようになり、イスラエルとアラブ諸国との貿易や技術提携も始まるかもしれない。旅行業もまた倍増すると予想される。

エルサレムポストは、今のライジング・ライオン作戦は、中東におけるユダヤ人の主権を宣言する戦いだとの記事を出していた。

www.jpost.com/opinion/article-858177#google_vignette

石のひとりごと

アミドロール氏は、厳しい現状を指摘する人で、絶対に根拠なき楽観はない元軍人である。分析には定評がある。そのアミドロール氏が、非常に明るい戦後を語ったのに驚いた。

それは良いことではあるが、一方で、それこそが終わりの時の様子だったりして。。とちょっとドキッとしたことでもあった。聖書のエゼキエル書には、終わりに時代に、イスラエルが、安定し、繁栄している時に、イスラエルが攻め込まれると書いてあるからである。

今イスラエルが仮にイランを倒して、繁栄を得たとしても、中東と世界に広がる反イスラエル、反ユダヤ主義はそのままである。アメリカとロシアの対立も残る。それらが一斉にイスラエルに攻め上るという構図は残ると思われるからである。

しかし、同時に覚えなけれならないことは、この攻め込まれるイスラエルが、そのまま倒れることがないと言う点である。この時、主が介入されて、イスラエルは、勝利を得ると書いてある。興味ある人はぜひ、聖書のエゼキエル書38、39あたりを読まれたし。

まあ石のひとりごであるが・・いずれにしても、世界はまさに聖書通りに動いていると実感する今日この頃である。

多くの日が過ぎて、あなたは命令を受け、終わりの年に、一つの国に侵入する。その国は剣の災害から立ち直り、その民は多くの国々の民の中から集められ、久しく廃墟であったイスラエルの山々に住んでいる。その民は国々の民の中から連れ出され、彼らはみんな安心して住んでいる。

あなたは、あらしのように攻め上り、あなたと、あなたの全部隊、それに、あなたにつく多くの国々の民は、地をおおう雲のようになる。

神である主はこう仰せられる。その日には、あなたの心にさまざまな思いが浮かぶ。あなたは悪巧みを設け、こう言おう。『私は城壁のない町々の国に攻め上り」、安心して住んでいる平和な国に侵入しよう。彼らはみな、城壁もかんぬきも門もない所に住んでいる。』

あなたは物を分捕り、獲物をかすめ奪い、今は人の住むようになった廃墟や、国々から集められ、その国の中心に住み、家畜と財産を持っている民に向かって、あなたの腕力をふるおうとする。

シェバやデダンやタルシシュの商人たち、およびそのすべての若い獅子たちは、あなたに聞こう。『あなたは物を分捕るために来たのか。獲物をかすめ奪うために集団を集め、銀や金を運び去り、家畜や財産を取り、大いに略奪をしようとするのか』と。

それゆえ、人の子よ、預言してゴグに言え。神である主はこう仰せられる。わたしの民イスラエルが安心して住んでいるとき、実に、その日、あなたは奮い立つのだ。  (エゼキエル書38:8-14)

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。