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イラン反政府デモ情勢まとめ:INS(イスラエル国家安全保障研究所)
イランでの反体制デモは3週目が終わろうとしている。INSSが、イラン国内のメディアからの資料(インターネット停止などで数字の範囲や質に問題は否定できずとコメントつき)によると、これまでにイラン国内で発生したデモは、189か所で607回。最も深刻な衝突は首都テヘランだった。
これまでの死者は、イラン政府の公式の報告では、3000人だが、イランの野党関連メディアによると1万2000人。イスラエルとアメリカは5000人と見ている。逮捕者は、1万8470人。

INSS(イスラエル国家安全保障研究所)の調査によると、図のように、政府がインターネットを遮断した際に、デモは最高数に達していた。
その後、政権側が強硬に出て、死者数、逮捕者も急増し、デモに参加した者は死刑に処すと発表して以来、現在、デモは少なくなっている
。INSS専門家によると、イランには、民間人に見えて、非常に残虐で知られ、市民の間に恐怖をもたらす組織があるという。
この間、トランプ大統領は、市民を虐殺するなら、アメリカが介入して政権に大きな打撃を与えると警告しつつ、カタールの米軍の配置を変えるなど、今にもイランへの攻撃を開始するかの様相を見せて、圧力をかけ続けた。
これに対し、イランは、デモで拘束した人々の処刑を開始すると言っていた当日、処刑は行わないと表明。トランプ大統領は、処刑の停止に敬意を表するとして、とりあえずイランへの現時点での軍事介入は差し控えるような言い方をしている。これもまた、デモが減る原因ともみられている。
しかし、アメリカは。軍事介入を停止したわけなく、延期しただけである。いつ何時何が始まってもおかしくはない。日本を含め、諸外国はイランへの渡航を禁止し、イラン国内にいる自国民には、できるだけ早くイランから出るようにとの指示を出している。
INSSの分析によると、イラン政権はまだ健在で、革命防衛隊も強力である。今イランを攻撃しても政権が崩壊するかどうかは未知数だという。
しかし、国民の政権への不信、不満はすでに最高潮に達している。今後、経済の悪化はさらに進むことが予想されることから、政府がデモを鎮圧し続けられるかどうかは疑問だとみられている。放っておいても政権が、今より弱体化していくと予想される。
また一方、政権内からは、デモ隊への処刑を実施するよう求める声もある。もし政権が、処刑を実施したら、デモは再燃する。アメリカが介入する可能性も出てくる。
INSSによると、デモ隊のスローガンは、53.68%と半分以上が反政権関連だった。
それに続くのが、親パーレビのスローガン。次に、自由、市民の権利、国内の自由と続き、経済は最後である。
要するに、アメリカは、できるだけ介入せず、イラン人自身がそれを達成できるかどうかを見極めようとしているということである。
今後、イランがどうなるかについて、予想は困難としながらも、INSS事務局長で元IDF情報部長の退役少将タミール・ヘイマン氏は次の3つの展開があり得ると語っている。
①今の政権から、一時的な別の政権(革命防衛隊とのコネクションあり)が出て、アメリカとの交渉に臨む。何らかの改革もするが、まもなく前の政権に戻る。
②ハメネイが退陣し、パーレビ関係者による政権になる。しかし、これについては、パーレビ政権時代に、欧米との関係に失敗したこともあるので、イラン国内に、十分な支持がない可能性が否定できない。
③ハメネイ退陣後、今まで知られていなかった指導者が出てくる。
イスラエルへの影響:ヒズボラはどうなる?
イランがどの経過を辿るのかどうかに拘らず、イスラエルは、現時点で、トランプ大統領の出方を注視しながら、静かに警戒体制を続けている。
もしアメリカが、イランを攻撃した場合、イランは、中東米軍基地だけでなく、イスラエルを攻撃すると言っているからである。イスラエルは、攻撃される前に攻撃するか、攻撃された場合は、倍返し以上の大規模な反撃をするだろう。
しかし、そうなった場合、イラン傀儡のヒズボラがどう出てくるかも懸念されている。
レバノンでは、停戦後、昨年1月に立ち上がったアウン大統領率いる新しいレバノン政府が、リタニ川以南のヒズボラを制圧する約束だった。しかし、全く不十分であるため、最近では、イスラエルが毎日のように、南レバノンへの攻撃を続けている。
なぜ叩いても、叩いてもヒズボラがいなくならないのか。ヘイマン氏は、リタニ川以北に駐留するヒズボラをイランが支援しているからだと語る。イスラエルは、レバノン北部へは全く対処できていないのである。
今後、イランとの対立になった場合、イスラエルは、ヒズボラとの対立にも直面することになる可能性が高い。
