27日から30日まで、イランがロシアと中国とともに、イランの港チャー・バハールが面するオマーン湾(インド洋)で、海軍の合同演習を4日間の予定で行っている。イランによると、目的は、海洋運送の安全維持で、攻撃を受けた船の救出などの訓練を行っている。
これは、アメリカが、イランに攻撃されたとするサウジアラビアとの協力体制を強化していることへの対抗とみられる。
また、アメリカはこの地域で、イランからの攻撃を守る目的で、有志連合による海洋運送を保護するためのセンチネル作戦(8月に結成)を結成している。こちらの拠点はバハレーン。参加有志国は、今の所、アメリカ、オーストラリア、イギリス、アルバニアでヨーロッパ諸国は参加していない。
www.timesofisrael.com/iran-says-its-working-with-russia-china-for-full-security-of-shipping-lines/
アメリカの経済制裁には、日本を含む世界諸国も同調して石油の禁輸政策をとっているが、この演習により、イランは、決して孤立しているわけではないと釘をさした形である。
<石のひとりごと:意味ある!?日本の自衛隊中東派遣>
こうした中、日本は27日、自国のタンカーを保護するためとして、中東海域への海上自衛隊(哨戒機1機、ヘリコプター搭載可能な護衛艦たかなみ、乗組ん260人)の派遣を決めた。派遣予定期間は1年。この地域にタンカーを運行させている船舶会社は、これを歓迎している。
しかし、日本は、憲法9条によって、あくまでも「自己防衛」に徹しなければならないため、アメリカの有志連合には加わらず、日本の船舶の護衛とともに、独自の”情報収集”が目的とされている。
また、できるだけ実戦にまきこまれないよう、派遣海域はソマリア沖アデン湾で、ホルムズ海峡やペルシャ湾には入らないという。
同盟国アメリカと、友好国イランとのはざまに立たされている日本が、”究極の妥協”として、今回の海上自衛隊派遣を決めたと伝えられている。
www.sankei.com/politics/news/191227/plt1912270004-n1.html
しかし、これほど複雑に多国籍の軍がからみあう地域、しかもロシア、中国という日本も独自の領土問題を抱える国々の軍が展開する地域に、憲法9条により、実戦でどこまで動けるかもいまいち明確にされていない自衛隊が出て行くことに、不安を感じない人はいないだろう。
また、危険地域は避けてソマリア沖アデン湾に派遣と言っているが、そのソマリアでは、28日、首都モガディッシュでの爆破テロ事件で、少なくとも90人が死亡した。この海域は、イランとサウジが代理戦争をしているイエメンにも近い。
www.timesofisrael.com/at-least-73-killed-by-truck-bomb-in-somalias-capital/
また、情報収集というが、日本は、サイバー攻撃については、世界に大幅に遅れをとっていて、まったく無防備と言われている。情報戦の最前戦である中東で情報収集などできるのだろうか。情報収集についてはイスラエルが最先端であり、日本の出る幕はないのではないか。
イランとアメリカ双方に気を遣って自衛隊を出すというが、ヨーロッパはそんな気遣いはせずに、軍をだしていないわけである。いらぬ配慮だったのではないか。
アメリカに相当押されたのか、政府になんらかの事情があるかは分かり得ないところではあるが、これほど危険な地域に、しかもこの時期に、日本の国防のみが目的の自衛隊を派遣することに疑問を持たざるをえない。