イランも戦闘準備か:ウィトコフ米中東特使は直接対話要請 2025.4.10

イランとの交渉に推しのウィトコフ中東特使

トランプ大統領は、ネタニヤフ首相との会談の中で、イランとの核問題に関する交渉が4月12日(土)にも行われると表明。アメリカからは、ウィトコフ中東特使が立つことになっている。イランからは、アラグチ外相の予定である。

しかし、交渉とはいえ、前記事でもお伝えしたように、アメリカはいつでもイランを攻撃できる体制を整えた上で、交渉を申し入れている。また交渉とはいえ、実質的には、イランに、核兵器開発を永久に諦めることを突きつけている形である。

www.timesofisrael.com/us-envoy-witkoff-to-lead-indirect-nuclear-talks-with-fm-araghchi-in-oman-iran-says/

ウィトコフ特使は、アラグチ外相と直接の会談を要求している。両国の不信を払拭するためには、直接の対話が必須だと考えているからである。

エルサレムポストによると、ウィトコフ特使は、もし招かれるなら、テヘランに行くことも辞さないと言っているとのこと。

しかし、アラグチ外相は、あくまでもオマーンの仲介による間接交渉だと述べ、交渉するかどうかは、アメリカ次第、ボールはアメリカにあると返答した。

このため、9日、ウィトコフ特使は、直接の対談でないならオマーンには行かないかもしれないとの報道が出ている。

www.timesofisrael.com/liveblog_entry/report-witkoff-may-delay-oman-trip-if-iran-refuses-face-to-face-meet-willing-to-visit-tehran-if-invited/

いろいろな点で、イランがアメリカの要求を受け入れるとは考えにくい中、トランプ大統領は、9日(水)、「もし交渉が破綻した場合、イラン攻撃のリーダーは、イスラエルだ。

とはいえ、私たちは誰にも支配されない。私たちは自分のしたいことをするだけだ」と語った。

なんとも問題発言だが、トランプ大統領の言うことにいちいち反応してはならないということも、世界は学ばないといけないだろう。

イランも戦争に備える!?

1)イラクに長距離ミサイル配備

こうした中、イランも戦争に備えている様子が伝えられている。8日(火)の時点で、イランがイラクの傀儡組織に長距離ミサイルを引き渡して配備している。そのミサイルの中には、ヨーロッパに届く長距離ミサイルも含まれているという。

これは、アメリカの圧力で、イラクの親イラン・シーアは組織の武装解除が始まっているという情報と食い違うものである。しかし、こうなると、イラクも巻き添えになることは避けられない。

Times of Israelによると、今のイラク政権は、レバノンがイラン傀儡のヒズボラによって、大変な被害を招いている様子を見て、国内にイラン問題を持ち込むべきでないとの論議が行われているとのこと。

www.timesofisrael.com/iran-sends-new-missiles-to-iraqi-proxies-that-were-said-to-be-disarming-report/

2)海路でヒズボラの軍事力強化

ヒズボラは、イスラエルの攻撃を受けてかなり弱体化している。加えて、シリアのアサド政権が、崩壊し、イランも撤退したことから、陸路でイランの軍事支援を受けることができなくなった。

ヒズボラは、イスラエルが、レバノンから撤退するなら、非武装化する用意があると言っている。

www.reuters.com/world/middle-east/facing-calls-disarm-hezbollah-ready-discuss-weapons-if-israel-withdraws-senior-2025-04-08/

しかし、その背後で、イランが海路でヒズボラに軍事支援を搬入していることがわかった。ヒズボラがベイルートで、武器生産能力を回復させようとする動きも報告されている。

www.ynetnews.com/article/rkwxn5zajl

イラクと同様、レバノン政府も、ヒズボラの存在に苦労させられている。

石のひとりごと

戦争になれば、犠牲になる人々や国が出るのは避けられない。それがわかっているのに、人間は一旦戦争となるとやめられなくなるのである。

そう言う意味では、トランプ大統領は、戦争ほど愚かな無駄はないとよくわかっているようで、できるだけ戦争は避けようとしている。しかし、これから戦争になるのかどうか。それは天地を創造された主のみが知っていることである。

イランはどういうわけか、イスラエルを攻撃して亡き者にすることにいとまがない。どんなに犠牲をはらっても、それをやり通す動きである。

しかし、最終的に、ではあるが、イランに勝ち目はない。聖書は、次のように言っている。

なぜ国々は騒ぎ立ち、国民はむなしくつぶやくのか。地の王たちは立ち構え、治める者たちは相ともに集まり、主と、主に油をそそがれた者とに逆らう。「さあ、彼らのかせを打ち砕き、彼らの綱を、解き捨てよう。」

天の御座に着いている方は笑い、主はその者どもをあざけられる。ここに主は、怒りをもって彼らに告げ、燃える怒りで彼らを恐れおののかせる。「しかし、わたしは、わたしの王を立てた。わたしの聖なる山、シオン(エルサレム)に。」(詩篇2:1-6)

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。