イランも勝利宣言:しかしハメネイ師はどこにいる?2025.6.26

Iran's Supreme Leader Ayatollah Ali Khamenei attends Eid al-Fitr prayers in Tehran, March 31, 2025 (photo credit: Office of the Iranian Supreme Leader/WANA (West Asia News Agency)/Handout via REUTERS)

イランも勝利宣言

停戦後の25日(水)、イランでは、ペゼシュキアン大統領が勝利を宣言した。

テヘランでは、政権支持者たちが、これを賞賛し、敵たちとは、戦闘を続けると主張するラリーを行った。

また、この日、イランでは、この12日の間に、イスラエルと関係があったとして700人が逮捕されていたことや、モサドに協力したとみられる3人が処刑されたことなどが報じられていた。政権の恐ろしさを国内外に知らしめた形であった。

www.timesofisrael.com/iran-says-700-arrested-for-wartime-ties-with-israel-3-alleged-mossad-agents-hanged/

また、核開発はやめないと宣言。国会で、核拡散防止条約から離脱を可決するなど、強気姿勢を強調している。

現政権は、非常に大きな打撃を受けたのではあるが、崩壊したわけではなく、今もイランを導く立場にいるということである。

またIRGC(イラン革命防衛隊)は、主要な指導者を相当数失ったが、軍自体は今も存続している。

しかし、上記のように、政権に忠実な市民もいる中、反体制のイラン市民も少なくない。

現政権の指導力には、影も出始めている可能性もある。イラン人たちの間には、絶望と希望が混じり合っているとも言われている。

イランのハメネイ師はどこに?

こうした中、イランのイスラム最高指導者ハメネイ師(86)の行方がわからなくなっている。

ハメネイ師は6月21日(土)、自身の後継者候補3人を擁立したと報じられていた。しかしその後、アメリカのバンカバスター登場や、停戦合意など非常に重要な時を含め、ここ1週間ほど公の場にいっさい姿を見せていない。停戦後の勝利宣言は、ペゼシュキアン大統領が発表していた。

ハマネイ師は、暗殺を避けるためか、電波がいっさい届かないところにいるとみられている。

しかし、NYTが伝えたところによると、イラン国営放送の番組の中で、イラン市民たちが、ハメネイ師官邸代表のマフディ・ファザエリ氏に、ハメネイ師がどこにいるのかと質問が相次いだが、ファザエリ氏は明確な回答はしなかった。

それどころか、政府関係者からも同様の問い合わせが相次いでいると答えた。政府関係者も知らないことを示している。

テヘランの新聞主任編集者、モシェン・カリフェ氏は、新聞に、「ハメネイ師の数日にのぼる不在は、彼を愛する人々を深く心配させている。もしハメネイ師が死亡した時は、イラン史上に残る記録的なものになるだろう」と書いていた。

シーア派イスラム教では、7月初頭に重要な宗教行事があり、もしこの時にもハメネイ師が出て来なかったら、悪いサインになるとも言われている。

www.jpost.com/middle-east/article-859054

石のひとりごと

実際のところ、イランがどういう状況にあるのか、これからイランがどうなっていくのかは、もうしばらく様子をみないとわからないだろう。

こうした不安定、また感情的ともいえる状況にある中で、特にイラン人クリスチャンたちが、逮捕されたり、暴力を受ける可能性が懸念される。とりなしが必要である。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。