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イランの大統領と外相が死亡:イスラエルは関与せず
劇的なニュースが世界を震撼させている。イランのライシ大統領(63)とアブドラヒン外相らが乗っていたヘリコプターが、イランとアゼルバイジャン国境付近の山中で墜落。
悪天候の中で、捜索が続けられていたが、イラン当局が、2人が死亡したと発表した。
BREAKING: TRANSFERRING OF BODIES FROM HELICOPTER CRASH INVOLVING IRAN PRESIDENT RAISI pic.twitter.com/b8J78VC0S0
— Sulaiman Ahmed (@ShaykhSulaiman) May 20, 2024
ライシ大統領たちは、アゼルバイジャンでのダム完成式典に出かけ、同国の大統領とも会談した帰りのことであった。イラン政府は、悪天候による事故と発表している。
ライシ氏は、強硬なイスラム主義者で、今イランで最高の権利を有するハメネイ・イスラム最高指導者(85)の後継とも目されていた。
ライシ大統領が死亡した今、イランでは、副官が、ライシ氏の代理を努めており、50日以内に、選挙が行われるとみられる。
大統領と外相が、一度に死亡するという、大事件だが、イランで、最終的な実権を握っているのは、結局、ハメネイ最高指導者である。このため、イスラエルの専門家たちは、国内の権利争いになっても、イランの核兵器開発問題や、テロ組織支援など、国外対策には、ほとんど変化はないとみている。
イスラエルとイランは戦争に近い状態のあるが、イスラエルの関与について、元イスラエル軍高官で軍事顧問のアミドロール氏は、時間と労力の無駄(意味がない)と完全に否定した。イスラエルは公式にも関与を否定している。
イランで大勢の処刑に関係したライシ大統領
国際保健機構によると、イランは、処刑大国で、今年に入ってからだけで223人を死刑(絞首刑)に処している。このうち50人が今月に入ってからの処刑であった。
この事故の直前もイランでは、複数の処刑が予定されており、その中には、ユダヤ系イラン人アルヴァン・ナサニエル・ガレマニさん(20)も含まれていた。
アルヴァンさんは、2年前、イラン人に襲われた際、自衛しようとして逆に、その攻撃者を殺す結果になった。そのため、逮捕され、処刑が確定していた。幸い、家族や国際人権団体の働きかけで、刑の執行直前に、1ヶ月の延期とされた。
ライシ大統領は、厳格なイスラム主義者で、司法関係者として、1988年に反体制派の5000人とも言われる処刑に関わっていたとみられる。
大統領に就任したのは、2021年6月。その後、警察に拘束されていたクルド人女性のヒジャブをめぐって、国内で反政府の動きがあった際には、非常に厳しく対処していた。
mtolive.net/イランに反米・保守強硬派ライシ大統領:イスラ/
イスラエルについては、ホロコーストを否定している他、イスラエルの存在の権利を認めず、核兵器開発や弾道ミサイルの開発、ハマスを称賛するなど、完全にイスラエルを敵視する立場であった。
www.nytimes.com/2024/05/19/world/middleeast/iran-president-ebrahim-raisi.html
ユダヤ教ラビたちがライシ氏をハマンとして裁かれたと解説
ユダヤ教超正統派の複数のラビが、ライシ氏は、ハマンである、神の裁きが下されたと言っている。ハマンとは、聖書のエステル記(紀元前486―465年ごろ)に出てくる人物である。
当時、ペルシャ(今のイラン)で、アハシュエロス王の側近であったハマンは、ユダヤ人を絶滅させようとした。しかし、この時、王妃となっていたユダヤ人女性エステルの機転で、これが阻止され、逆に処刑された人物である。
www.jpost.com/middle-east/iran-news/article-801767
なお、ユダヤ教全体が、ライシ大統領をハマンと考えているわけではない。