イランのシュシャン跡地でユダヤ人がプリムの祝い 2025.5.15

The Tomb of Esther and Mordechai in Hamadan, Iran (CC BY-SA Philippe Chavin/Wikipedia)

ユダヤ人たちが今祝っているプリム。このプリムの舞台は、紀元前5世紀のペルシャ(今のイラン)にあった町、シュシャンであった。

現在のイランにある町、ハマダンには、エステルとモルデカイの墓と伝えられている大きな墓があり、ここがかつてのシュシャンとの言い伝えがある。

この言い伝えは、少なくとも1100年前にさかのぼっているという。

www.timesofisrael.com/tomb-of-mordechai-and-esther-in-iran-reportedly-set-ablaze/

Drawing of the tomb of Mordechai and Esther in Hamadan, Iran. The inscription “Tomb of Mordechai the Righteous and Queen Esther (May Their Merit Protect Us) (The National Library of Israel)

現在、イスラエルとイランの間には、深刻な対立があるが、イランにもユダヤ人は、まだ住んでいる。

1979年のイラン革命前は10万人いたが、今は8500人。主には、首都テヘランにいるという。

この人々はユダヤ人ながら、反イスラエルの立場を表明していることから、イランの現政権に受け入れられている形である。

イランのチーフラビである、ラビ・ヤフダ・ゲラミとその学生たちは、プリムが始まった3月14日(木)、このモルデハイとエステルの墓の前で、メギラー(エステル記)を読み、皆でダンスし、その様子を公開した。

www.timesofisrael.com/iranian-chief-rabbi-reads-the-book-of-esther-at-the-tomb-of-mordechai-and-esther/#:~:text=Footage%20emerged%20Thursday%20of%20Iran's,for%20the%20holiday%20of%20Purim.

www.ynetnews.com/article/sk5rahb21g

石のひとりごと

ユダヤ人といえども、全世界に散っていった後は、非常に多様な民族になっている。イスラエルを祖国と思わないユダヤ人は、アメリカにもいる。

コロンビア大学で、パレスチナ人で反イスラエルのデモを率いたマフムード・カリル容疑者がアメリカ移民局に逮捕されたが、その後、ユダヤ人たちがトランプタワーに押しかけて、釈放するようデモを行ったという報道があった。

このユダヤ人たちは、「ユダヤ人の平和の声」というグループで、イスラエルのしていることに同意しないユダヤ人たちである。

混乱するかもしれないが、これほどに多様なこの多様性こそがユダヤ人であり、これだけ意見が違ってもなお、皆が同じプリムを祝っているということなのである。こんな民は他にはないだろう。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。