昨日からジュネーブで、6カ国(アメリカ、ロシア、イギリス、フランス、中国、ドイツ)とEUが、イランと核問題について交渉しているが、最終日の今日を迎え、にわかに緊張してきた。
今回は、これまでの交渉と違って、イランの方からの提案で実現した交渉で、なんらかの譲歩案を出して、経済制裁の緩和を求めるという趣旨。
イギリス系通信によると、昨日1日の交渉で、イランが核の濃縮を低レベルに限定するかわりに、経済制裁の一部を期間限定で緩和するという方向で動き始めているもよう。
まだ決定ではないが、昨夜、オバマ大統領はテレビでのインタビューで「イランと対決するよりは、取引があった方がよい。」との考えを明らかにしており、交渉成立への色合いが濃くなっている。
<ケリー国務長官:予定変更でジュネーブへ>
イスラエルとパレスチナを訪問していたケリー国務長官だが、昨日ヨルダンのアンマンを訪問。そこでもう一度アッバス議長と会談し、再びイスラエルへ戻ってネタニヤフ首相と会談してエルサレム泊。
この後帰国の予定だったが、ケリー国務長官は、急遽ジュネーブのイランとの交渉に出席することになった。この点においても、今夜、イランとのなんらかの取引が成立するのではないかと注目されている。
<イランとの取引は歴史的失敗:ネタニヤフ首相>
ネタニヤフ首相は、現在エルサレムで開催されている北米ユダヤ人のカンファレンスでのスピーチの冒頭で、「イランとの取引は、いかなるものであっても歴史的な失敗になる。」と明確に強く警告した。
ネタニヤフ首相は、最終的には核濃縮をすべていっさい停止しない限り、イランの核兵器開発を止めることはできないと主張する。
イランが痛みをようやく自覚し、経済緩和を求め始めた今、経済制裁を緩和してしまっては、もはや、最終段階にまで持ち込むことはできなくなるというのである。
ネタニヤフ首相の主張は、ケリー国務長官には、強力に伝えてある。今日8朝、ネタニヤフ首相は、ベングリオン空港までケリー氏に同行し、見送った。ぎりぎりまでイスラエルの主張を伝えたものと思われる。
*ネタニヤフ首相、怒りのメッセージ「非常に悪い取引」www.youtube.com/watch?v=4TMN4bXFoMY(ビデオ)
ネタニヤフ首相は、ケリー国務長官を見送ったベングリオン空港において、英語ではっきりと「今回、イランは、何も支払わずにすべてを得た。これは非常に悪い取引だ。イスラエルはいかなる取引であっても拒絶する。」と繰り返した。
その上で、「イスラエルは自己防衛のためにはいかなる方策も躊躇しないこと。いかなる国際社会の圧力があっても、治安の維持のためにはいっさい妥協しない。それはパレスチナ人との関係においても同じだ。」と、怒りの表情で訴えた。(ビデオ参照)
*イランのかなり怖いビデオ www.youtube.com/watch?v=68CsCjIJaeE#t=43
イランの国営放送が流したというビデオクリップ。数々のミサイルが発射され、テルアビブに撃ち込まれる様子が、リアルに描かれている。実際の航空写真を使い、どこをターゲットにするのかも明らかになっている。とりなし手、必見。