イラクで難民急増中 2016.6.22

19日、過去2年以上にわたって、ISISに支配されてきたイラクのバグダッド近くの町、ファルージャの要所を奪回したとイラク軍が発表した。まだ戦いは続いているが、イラク軍は、その後モスルへも進軍しているもよう。

しかし、ここ4週間ほどのファルージャでの戦いで、新たに難民が8万人発生した。BBCが伝えたところによると、難民たちは食べ物もなく、外で寝るしかないという現状だという。現地では、昼間の気温が47度にまで上がる時があるという。

のがれて来た人の証言では、町の中では食べ物もなく、医療品も不足しているため、子供であっても麻酔なしで、治療が行われていたという。

www.bbc.com/news/world-middle-east-36571226

イラク政府は支援を要請しているが、汚職が蔓延し、これまでの国際支援を上層部が着服しているという疑いもあるため、国際社会も支援はしにくいというのが本音である。

<世界難民の数が史上最高へ>

国連によると、2015年末現在、世界中で難民であるか難民申請をしている人の数は6530万人で、史上最高となった。難民の半分は18才以下の子供だという。

また難民の54%は、シリア、アフガニスタン、ソマリアからの難民で、1240万人は、2015年に難民となっていた。

www.bbc.com/news/world-36573082

<ヨルダンにいるイラク難民クリスチャン>

ヨルダンには65万5000人以上の難民がいる。その中にはクリスチャンも少なくない。しかし、ヨルダン国内のクリスチャン系の学校は高額で、とても学べない状況。

そこで、地元教会が、難民の子供たちを集めて、教育を行っているという。アメリカなどからクリスチャンたちがボランティアで協力しているが、エルサレムアッセンブリーからも、R姉妹が参加してきて報告をしてくれた。

R姉はユダヤ人だが、アラビア語を学び、難民たちとも十分コミュニケーションがとれる。イスラエル国籍であるため、一時入国が阻止されたが、現地に赴く事ができたという。

R姉によると、難民となったクリスチャンの中には、ISISに感謝するという人もいたという。「イラクにいたときは、ただ単に毎週教会に行っていただけで、主との関係は感じなかった。今こうしてすべてを失ってはじめて、主との関係を感じる事ができた。だからISISに感謝する。」と語ったという。

ビデオで紹介された子供たちは、エルサレムにいる子供たちとほとんど見た目も同じで、元気そうだった。ヨルダンにいるイラク難民たちは、国連の難民指定を待って、その後は第3国のアメリカやカナダをめざしているとのこと。

<シリア、イラク国境でヨルダン兵士6人が死亡>

ヨルダンにはシリアとの国境付近に難民キャンプがあるが、火曜朝、その国境付近で、自爆テロとみられる爆弾攻撃でヨルダン兵6人が死亡。14人が負傷した。

www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/213940#.V2mzcaUWnA8

今のところ、犯行声明は出ていないが、ヨルダンが、アメリカ有志軍とともにISISを空爆していることから、ISISによる可能性が高い。アブダラ国王は、鉄拳を持って対処すると言っている。

なお、ヨルダンではこれに先立つ今月6日にも、主都アンマン郊外の、パレスチナ人難民キャンプ近くの治安諜報機関のオフィスでテロがあり、治安関係隊員3人が殺害されている。この事件については詳細は発表されていない。

www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/213328#.V2m0dKUWnA8

イスラエルは、ヨルダンの治安維持には協力しているため、こうした事件を受けて、水面下でイスラエルもなんらかの動きをしていると考えられる。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。

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