イスラム教ハッジ(大巡礼)とエイード・アル・アドハ:熱中症で14人死亡 2024.6.18

Pilgrims circle Kaaba as they perform Tawaf at the Grand Mosque, ahead of the annual haj pilgrimage, in Mecca, Saudi Arabia on June 11, 2024. © Mohamad Torokman, Reuters

1)ハッジ

ハッジとは、イスラム暦の12月に、サウジアラビアのメッカへ巡礼するとされる、イスラム法で定められた3日間のことである。メッカでは、カーバ神殿の周りを、イスラム教徒たちが回る。

今年は、約200万人がメッカを訪れたが、気温は18日、51.8度を記録。あまりの暑さに2700人が医療ケアを受け、少なくとも14人が熱中症で死亡した。(メディアによっては22人)

www.afpbb.com/articles/-/3524775

www.ynetnews.com/article/bj0a9bji0

2)エイード・アル・アドハ

ハッジの最終日はエイード・アル・アドハと呼ばれる犠牲際になる。この日は、聖書に出てくるアブラハムが息子イシュマエル(聖書ではイサク)を、神に犠牲として捧げたことを覚える日とされている。

聖書によると、アブラハムとその妻、サライにはなかなか子供が生まれなかったため、サライは、夫アブラハムに、エジプト人女奴隷のハガルを連れてきて、子供を産ませ、その子を長男とした。それが、イシュマエルである。ところがその後、サライも妊娠し、イサクを産むことになる。

ウィキペディア

ヤコブが正妻の子供であることと、イシュマエルが、あえてアラブ人の妻を迎えるなどしたため、結局次男であったヤコブが、アブラハムの正式な跡取りとなる。アブラハム、イサク、その子のヤコブが、ユダヤ人民族になっていくのである。

その後、聖書によれば、アブラハムが神の指示に従い、犠牲として捧げようとして(殺そうとして)、それを止められるというプロセスの中で、捧げられたのは、イシュマエルではなく、イサクである。(創世記22章)

このイシュマエルが、後にアラブ人となっていき、ヤコブがユダヤ人となって、今に続く対立の形になっていくのである。いわば、非常に古くから続く兄弟喧嘩といえるだろうか。

以下は、エルサレムの神殿の丘でのエイード・アル・アドハの様子。幸い、衝突は報告されていない。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。