最近、西岸地区でパレスチナ人とイスラエル軍との衝突が増えてきている。
これは、昨年11月、イスラエルがガザで地上戦を行わないで、ハマスとの停戦に合意、また12月には、投石を受けたイスラエル軍兵士らが背を向けて逃げる姿がネットで流されたことも追い風となって、若いパレスチナ人の間で、「イスラエル軍は怖くない。勝てる。」的な感情が高まっていることが原因と言われている。
この風潮に乗って、第三インティファーダ(投石民衆蜂起から自爆テロ)へと発展することが懸念されるため、イスラエル軍は現在、積極的にA地域(パレスチナ自治政府直轄地でイスラエル人は通常立ち入り禁止)に入って、指導者らの摘発逮捕を行っている。
しかし、国際社会からの批判や、法的なしばりが足かせとなり、逆に兵士たちが武器を使用しないまま退却するというケースが増えて、さらにパレスチナ人のイスラエル軍への恐れを低下させる繰り返しとなっている。
<ジェニンで衝突>
1日、ジェニン近郊の村で、野菜売りに変装してイスラム聖戦のグループを逮捕しようとしたイスラエル軍の試みがばれて、パレスチナ人が暴徒化し、イスラエル軍と衝突。双方に負傷者が出た。
さらに3日、ジェニンで再びイスラエル軍がパレスチナ人らの投石にあい、目的の人物を逮捕できないまま、別の人物を逮捕して退却したとの報道がなされた。(後にイスラエル軍はこれを否定)
この時、走り去るイスラエル軍の車両3台のうち1台に、4人のパレスチナ人の若者がよじ登っているところがネットで流された。こうした行為は、これまでになかったことで、パレスチナ人の間で、イスラエル軍に対する恐れが低下していることを現している。http://youtu.be/n-dbyaGn0Dw
退却についてイスラエル軍は、「車両は防弾されている。投石で中の兵士が傷つくことはない。車両を停止して反撃すれば、パレスチナ人が死亡し、地域全体が混乱に陥る。かっこうは悪いが、そうなるよりはましだと判断した。」と説明している。今後、実弾の武器で身を固めるイスラエル軍が、投石のデモ隊にどう対処していくのかが課題となっている。
<自発的行為>
西岸地区のビルゼイト大学カチーブ教授(第一インティファーダを経験)によると、こうしたパレスチナの若者たちの行為は、特定のテロ組織に指示されたものではなく、自発的なものと分析されている。将来への希望が見えず、自治政府経済の悪化で失業率が高まっていることが原因とされる。