イスラエル軍がレバノン領内を空爆:停戦崩壊危機・新政権に期待 2025.1.15

In this photo released by the Lebanese Presidency press office, Lebanese president Joseph Aoun, center, meets with Prime Minister-designate Nawaf Salam, right, and Parliament Speaker Nabih Berri, left, in Baabda, east of Beirut, Lebanon, January 14, 2025. (Lebanese Presidency press office via AP)

まもなく停戦60日終了で停戦崩壊の危機

昨年11月27日に発効した、イスラエルとヒズボラ(レバノン)との停戦合意は、もうまもなくの1月27日に、その期限の60日を迎える。

しかし、レバノン内部では、ヒズボラ戦闘員の動きもまだあり、リタニ川以北(国境から30キロ)まで撤退するとの約束をヒズボラはまだ守る様子にない。

イスラエル軍は、レバノン軍と並行して、ヒズボラの地下トンネルや武器の摘発と破壊を終わりなく続けることを余儀なくされている。1月10日には、南レバノンで、ヒズボラの武器を乗せたトラックを空爆し、5人が死亡していた。

続いて1月12日(日)夜、イスラエル軍は、リタニ川以北を含むレバノン全域のヒズボラ関係地点への空爆を行った。ターゲットになったのは、ロケット弾発射施設や、軍事拠点、イランからの武器密輸ルートに関係したとみられるシリアとレバノンの国境地点などであった。

イスラエル軍は、「ヒズボラに対し、約束通り、それらを排除するよう警告したが、ヒズボラは応じなかった。このまま撤退したら、ヒズボラは容易に復活する。」と主張している。

これでは、イスラエル軍も約束の撤退は無理という状況になりつつあり、一方、ヒズボラも、このままでは停戦は1月26日には切れると言っている。停戦が崩壊する様相にあると言われている。

www.timesofisrael.com/idf-says-it-hit-hezbollah-sites-after-ceasefire-monitors-failed-to-address-threats/

新レバノン政権はヒズボラ武装解除をめざすと

(AP Photo/Hassan Ammar)

レバノンでは新しく、ヒズボラと対立するヨセフ・アウン大統領が就任。続いて1月14日(火)、国会で過半数を得た、ナワフ・サラム首相が、新しく就任した。

サラム首相は、レバノン全土に国家の権限を拡張すると述べ、ヒズボラに対し、国連決議1701の完全実施に向けて、努力していると述べた。

この決議によると、ヒズボラはリタニ川以北へ撤退しなければならない。

www.timesofisrael.com/lebanons-new-pm-says-he-will-extend-state-authority-across-entire-country/

新しいレバノン政権がヒズボラを崩壊させ、多様なレバノン国民を民主的に運営する政府になるよう、期待するところである。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。