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南レバノンからイスラエル軍撤退:5カ所駐留は維持
イスラエル軍は、レバノンとの停戦60日が終わってから、約3週間延長し、それも期限を迎えた2月18日(火)、レバノン南部の村から完全に撤退した。その後には、交代にレバノン軍が入り、治安維持を引き継いでいる。
完全撤退とはいえ、イスラエル軍は、国境レバノン側に、独自の緩衝地帯を設定し、その中にある5か所(赤い点)を、戦略的前哨地点として、軍を続けて駐留させている。
言うまでもなく、国境よりイスラエル側の防衛も強化している。
さらに、この直前の16日(日)、イスラエルは、レバノンの奥地のバカ・バレーで、ヒズボラ軍事施設を空爆。ロケット発射地を含む武器を破壊した。南部でも、イスラエル軍によると、ヒズボラ幹部を狙ったとする攻撃で2人が死亡した。
続いて17日(月)、イスラエルは、海岸都市シドンにおいて、ヒズボラとの強力な連絡係であった、ハマス責任者のモハンマド・シャヒーンをドローンによる攻撃で殺害した。
いわば、最後の攻撃を終えて、18日(火)にレバノン南部から撤退したという流れである。
カッツ国防相は、停戦協定を施行するが、ヒズボラがリタニ川を超えて違反することがあれば、確実に対応すると警告している。
ヒズボラはどうなっている?避難民を支援している?ヒズボラ
ヒズボラは、ナスララ党首と上部指導者ら多数をポケベル爆破攻撃で失っている。また南レバノンにあった拠点や、武器庫も相当にイスラエルに摘発されてしまった。
さらには、シリアのアサド政権が新政権に打倒され、新しいシャラア暫定大統領下の政権は、多様な政府を目指すとして、イスラム主義のイランとは敵対する様子を見せている。
このため、シリアを経由してのイランからヒズボラへの武器支援は、届かなくなっている。一方で、トルコが進出しているというのが、新しい動きである。
こうした中、イスラエルが南レバノンから完全に撤退した形である。レバノン南部では、昨年11月26日に停戦になってから、避難民が戻ってきて、すでに復興が始まっていたが、今、さらに人々が戻ってきた。しかし、建物の90%が破壊されている地域もあり、人々はショックを受けている。
そうした村の一つキラでは、ナスララ党首の旗を掲げた人の様子や、ナスララ党首の葬儀準備の話題、瓦礫から血まみれの手が出ている風刺画が出るなど、怒りの気配も報じられている。
www.ynetnews.com/article/sy4luvz51g#autoplay
これらの住民たちによると、再建をヒズボラが手伝っているという。ヒズボラは、もともと、人道支援でレバノン人の支持を集めた政党だった。
その資金源は、イランである。しかし今は、これまでのように、イランからの支援を、シリア経由で現金を受け取ることはできなくなっている。
先週、現金を詰め込んだスーツケースを満載した民間機が、ベイルートの国際空港で摘発された。イランからであった。このため、レバノン政府は、イランからの乗り入れを中断している。これに反発した親ヒズボラグループが、レバノンの空港を制覇しようとして、取り押さえられた。
今は、トルコがヒズボラへの資金援助をしているとの情報もあるが、イランからの援助が途絶えた今、ヒズボラには致命的になる可能性もある。
www.timesofisrael.com/south-lebanon-residents-say-hezbollah-helping-to-pay-for-lost-furniture-rent/