イスラエル軍がガザ市周辺の包囲に向けて戦闘中:IDF報道官が記者会見 2025.8.21

Israeli forces operate in the Gaza Strip, in a handout image published on August 20, 2025. (Israel Defense Forces)

8月20日(水)夜、イスラエル軍のエフィ・デフリン報道官が、メディアブリーフィングを行なった。デフリン報道官が報告したことを交えながら、ガザ攻撃の現状を解説する。

www.idf.il/305882

1)ガザ市周辺を包囲に向けた攻撃:今のハマスは以前の軍事テロ組織でなくゲリラ組織

停戦と人質の部分的解放に関する交渉が進む中、イスラエルは、ガザ全面制覇にむけた作戦を開始。現役兵と予備役兵2万に加え、さらに6万人の予備役招集を開始するなど、本気度を見せている。そうすることで、強力な圧力となり、ハマスがさらに譲歩する可能性も視野から外していないということである。

今、焦点になっているのは、ガザ市への突入である。イスラエルは10月7日という日程をその日と表明している。しかし、ガザ市周辺への攻撃はすでに始まっており、ゼイトゥーン、ジャバリヤなどガザ市郊外はイスラエル軍が支配する状況になっているという。じわじわと包囲する様相である。

IDFのデフリン報道官は、今のハマスは、以前の軍事テロ組織であったハマスと違い、ぼろぼろになったゲリラ組織だと語った。

イスラエル軍は、それらに対し、やられる前にやるという原則で戦っていると語った。

また、ガザ市の地上地下のインフラを遮断し、住民のハマス依存を断つ作戦を行っている。住民たちには、戦闘の前に警告が出されており、南部へ避難する人も出ているようである。

2)ガザ南部でハマス18人と激戦:ヤルダン・ビバスさん拉致のテロリスト死亡

Hamas gunmen flee during an attack on an army encampment in southern Gaza’s Khan Younis, and dead Hamas operatives following the incident, August 20, 2025. (Israel Defense Forces)

一方ガザ南部、ハン・ユニスでは、8月20日(水)、18人のハマス・ゲリラが、駐留中のイスラエル軍に攻撃をしかけてきた。

後の報告によると、15人は破壊したトンネルから出てきて、対戦車砲などでイスラエル軍への攻撃をしかけていた。

銃撃戦となり、空軍も攻撃する中、ゲリラ10人が死亡。これを撃退した。

しかし、この戦闘で、イスラエル兵3人が負傷。1人が重傷となった。

デフリン報道官によると、他地域でもこのように、地下トンネルから出てきて、イスラエル軍がいる建物に突入してきて攻撃したとのこと。

www.timesofisrael.com/idf-says-troops-repelled-rare-large-scale-attack-in-south-gaza-10-terrorists-killed/

ガザのどの地域への攻撃かは明確でないが、シンベト(国内治安)は、19日(火)、イスラエル軍が、10月7日にキブツ・ニール・オズに侵入し、ヤルダン・ビバスさんを拉致したイスラム聖戦テロリスト、カマル・サレム・ナジャールが空爆で死亡したと発表した。

家族で一人だけ生き残った父親、ヤルダンさんは、治安部隊に感謝を表明し、「私の心に小さな終結があった。この男が他者を傷つけることはなくなった」と語った。

しかし、ヤルダンさんは、まだ2人の双子の友人含む50人がまだガザにいるとして、その人々が解放されて、残りの心の穴が閉じることを待っていると語った。

www.timesofisrael.com/idf-says-it-killed-hamas-terrorist-who-took-part-in-kidnapping-of-yarden-bibas/

3)ガザ南部への人道活動:市民のハマス依存断絶めざす

IDFのCOGAT(政府活動担当)は、避難民が増えると予想される南部地域で、人道的インフラの設立をめざす民間の取り組みを主導している。(イスラエルは、17日(日)、避難民用テントの搬入を開始している。)それにより、市民のハマスへの依存を断つことをめざすとデフリン報道官。

石のひとりごと

世界のニュースと見ていると、イスラエル軍があたかも無計画に、ガザの人々を虐殺しているようなイメージだが、実際のイスラエル軍はそうではない。しっかり計画を立てて、できるだけ無駄な死傷者は出さないようにしながら、前に進んでいる。

しかし、デフリン報道官によると、今のハマスは、以前のような軍事テロ組織でなく、ゲリラ組織になっているという。

まさにテレビゲームのように、敵は、エンドレスに湧き出し、どこから出てくるかわからない。当然市民たちの間から出てくることもある。まさにサタニック、ガザでの戦いは、前より難しくなっていると思われる。

こうした中で、イスラエル軍は、ヤルダンさんのケースのように、傷ついた国民を忘れることなく、その復讐をなしとげ、それをその本人に報告している。他の国では絶対にあり得ないことである。

世界の理解が得られず嫌われる中、イスラエル人たちは、究極の痛みについては、しっかり共有していると思う。逆に他人以上の近さであり、同じ船に乗っていることもよく知っているので、違う意見も遠慮なく出すのだろう。

イスラエルとその国に住む人々は、本当にユニークであり、他と違っている。人間的な理解での正しさや信仰深さではなく、こういう他にはない点こそが、主の民であることを証しているといえるのではないだろうかと思う。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。