22日に行われた総選挙だが、24日に集計が終わって正式な数字が発表となった。出口調査とほぼ同数で国会120議席のうち61席を右派、59席を左派(中道)と左右半々となった。
選挙名簿によって第19代国会入りを果たす120人の特徴は以下の通り。新党で社会変革をめざす「未来がある」党が予想以上に躍進したため、これまでの古い議員が出て、新しい議員が多数加わることになった。日本でいえば、新党の維新の会が、旧体制派を破って躍進したような形である。
1.新入りが49人(41%)
2.女性議員27人(イスラエル史上最大)
3.ジャーナリスト、大学教授など政治以外でのエキスパートが多く含まれる。
4.西岸地区側に住む議員が12人(10%)
5.ユダヤ教を生活に取り入れている議員は39人(30%)
6.アラブ系議員は11人(2人減)
これが何を意味するかといえば、全体的に内政重視で外交ではハト派の国会であると分析されている。
<ネタニヤフ首相、連立交渉開始>
右派左派半々、ハト派に傾く国会の中で、自身は右派のネタニヤフ首相がどんな連立を組むのか。以下の状況から過半数60議席以上のグループをつくるというパズルである。安定した政権を作るためには、実際には80議席を連立に入れる必要がある。
右派-リクード・ベイテイヌ合併党(31)、ユダヤの家党(12)、シャス・ユダヤ教政党(11)など
左派(中道)-未来がある党(19)、労働党(15)、ハツナ(リブニ党)(6)カディマ(2)など
ネタニヤフ首相自身は右派だが、右派だけで、連立を組むのは60ぎりぎりで不安定。今日、労働党が、連立には加わらないと発表したため、左派(中道)だけの連立も不可能となった。右派左派同居の政権は免れない。
<鍵を握る中道左派・新党の「未来がある党」>
結局は、次期政権に今回躍進した中道左派の「未来がある党」(ヤイル・ラピード党首)を連立に入れることになり、彼らとどの右派が同居するかなどで、ラピード党首とどう折り合いをつけるかが鍵になる。
また、連立の交渉は通常、どの大臣の椅子をどの党首に割り当てるかが大きな焦点になる。しかし、「未来がある党」のラピード党首は、つい最近まで人気ニュースキャスターだった人物で、政治家ではない。
そのため、自分の大臣の椅子よりも、実際の社会変革ができるポジションにしか興味がない。どの大臣でもよいというわけではないため、これまでのような交渉ではうまくいかない様子である。
<今後の流れ>
正式には来週、ペレス大統領が、ヨーロッパから帰国しだい、各党をまわってだれが連立・組閣を実現できるかを判断し、指名する。指名された党首は28日以内に連立政権を結成しする。もしできなければ2週間の延長が可能である。
選挙結果からもネタニヤフ首相が指名されることは確実。さらに3月初頭にはアメリカでAIPAC(アメリカ・イスラエル公共問題委員会)があるため、おそらく2月末までには組閣を終えるとみられる。