27日は、国際ホロコースト記念日である。その直前になり、ローマのイスラエル大使館、シナゴグ、ユダヤ博物館などに豚の頭が入った箱が送りつけられた。
シナゴグに豚の頭の入った箱が送りつけられたのは、24日金曜日。ちょうど、「爆弾を送りつけた。」との電話が数多く入って大騒ぎになっていたところだった。
現在、警察が、箱に付着した指紋などを検証中である。
アメリカのユダヤ委員会は、この事件を深刻な反ユダヤ主義行為の前兆ではないかと警戒する声明を出している。
<ウクライナのユダヤ人を覚えて>
こうした豚の頭をユダヤ関係施設に送りつける行為は今回に始まったことではない。昨年にはウクライナでも同様の事件が発生している。
ウクライナでは第二次世界大戦中に、ユダヤ人の大量虐殺が行われ、遺体の山が埋められたと言われる場所があちこちにある。悲惨な歴史があるのだが、今ではウクライナにいるユダヤ人は一般的に”お金持ち”なのだという。
ウクライナでは、一般的にユダヤ人に対する独特の差別意識、タブー視する空気がある。つまり嫌われているということである。
たとえば、以前ウクライナに行った時、ウクライナ人商人の強引な性質に驚かされたことがあるが、ウクライナにいる日本人が「確かにそうだが、しかし、そのウクライナ人がユダヤ人はがめついと言っている。」と言っていた。
こうした社会通念があるためか、ウクライナでは自分がユダヤ人であることを隠す人も少なくないという。
そのウクライナでは、昨年、ヤヌコビッチ大統領が、EUへの加盟を見送ってロシアとの関係を優先して以来、首都キエフを中心に激しい暴力的なデモ運動が続いている。現在では死者も出てエスカレートしつつある。
かつてロシア地方では、こうした情勢不安から、ポグロム(ユダヤ人村を襲って全滅させる)が発生したのである。
さらに今の紛争の背後には極右集団「右セクター」が関わっていることが明らかとなった。ユダヤ人にはさらに危険な要素である。
イスラエルにはウクライナから移住してきたユダヤ人が多数いる。彼らから、ウクライナのために、そこにいるユダヤ人の家族親族のために祈ってほしいとのリクエストが出ている。