イスラエル人女性兵士人質5人の様子を家族が公開:政府と世界は目を覚ませ 2024.5.23

人質になったイスラエル軍女性兵士5人の映像公開

22日、人質家族フォーラムは、昨年10月7日に、ハマスがガザ国境のIDF基地ナハル・オズで監視をしていた5人の女性兵士を拉致した時の様子を撮影した映像を公開した。

ハマスとの交渉を進めようとしない政府に、目を覚まして真剣にハマスと交渉するようにと訴えるためである。

撮影された現場は、朝9時で拉致された直後とみられる。

ナハル・オズ基地では、ハマスの襲来で、男性女性兵士54人が殺害されている。5人は、女性兵士11人と男性1人の遺体が転がる部屋で2時間隠れていたが、ハマスに発見され拉致されたとみられている。

映像はハマスの体に取り付けられたカメラで撮影したもので、全部で33万分以上あり、そこから約13分が編集され、さらに公開されたのは、その中の約3分である。

女性兵士5人は殴られたのか、顔や足など血まみれで、恐怖とショックの中にいる。5人は、リリ・アルバーグさん(18)、カリーナ・アリエフさん(19)、アガム・ベルガーさん(19)、ダニエラ・ギルボアさん(19)、ナアマ・レヴィさん(19)

ナアマさんは、「私にはパレスチナ人の友達がいます。英語ができる人は」とハマスに声を上げている。ハマスからは、「お前らに兄弟が殺された」と叫ぶ声がする。意地悪く、ハマスは、「この人々は妊娠するかもしれない」と言っている。

撮影された当時から、もう229日も経過している。5人は今どうなっているのか想像もつかない。

ハマスは、心理的な圧力をかけるためか、こうしたクリップを家族宛に送りつけてきているが、繊細な家族の気持ちと、国民への心理的影響を鑑みて、ほとんど公開されていない。

今回、5人の女性たちの家族が公開に踏み切ったのは、まず、ハマスとの交渉をせずに人質を省みない政府への強力なメッセージを発するためだと言っている。

しかし、実際に公開に踏み切るまでには相当に悩んだという。また、今回、公開はしたが、女性たちの母親5人のうち、3人は、つらすぎて、自身もまだクリップを見ることができていないという。

家族たちは「この映像を見て平気でいられるのか。これは私たちが放つことのできる最後の訴えです」と言っている。また世界はこの残虐なハマスの行為を知らなければならないとも訴えている。

www.timesofisrael.com/hostage-families-release-clip-of-female-troops-abduction-to-push-for-their-freedom/

戦時内閣がカイロでの交渉再開を指示

ネタニヤフ首相は、この映像を見て、恐ろしいと述べ、人質を取り返すためにできる限りのことをする述べた。

さすがに、戦時内閣は、ハマスとの交渉に新たな方針をもって取り組むよう指示を出したと伝えられている。

しかし、ネタニヤフ首相は、あらためてハマスを根絶しなければならないという私の決意を強化しただけだと語っている。

www.timesofisrael.com/hostage-families-release-clip-of-female-troops-abduction-to-push-for-their-freedom/

石のひとりごと

この映像を見て涙が出ない人はいるだろうか。イスラエル兵とはいえ、国民の義務として招集された19歳の若い女性たちである。これほどのことをされているのに、イスラエルがガザでハマスと戦おうとする手を縛ることが正義だと世界は言うのである。

別記事で述べるが、この公開と同時に、スペイン、ノルウェー、アイルランドは、パレスチナ国家を承認すると発表した。パレスチナ人の組織ハマスがまだ温存されている状態の中でである。ネタニヤフ首相は、これは全くテロへの報償だと怒りを表明している。

主よ。イスラエルの苦しみはいつまでですかと言いたくなる。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。