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イスラエルはイランを攻撃するか
イランがイスラエルへ弾道ミサイル200発を発射してから3日になろうとしている。イスラエルは、攻撃のあと、イランに対し、数日以内に、報復攻撃を行うと表明していた。
今のところ、イスラエルから、イランに対する直接の大きな動きには出ていない。
しかし、イランの核施設、または石油関連施設への攻撃をするのではないかとアメリカは警戒を表明している。
バイデン大統領は、イスラエルにイランの核施設への攻撃に同意しなかったと発表した。そんなことをすれば、本当に中東戦争に突入するからである。バイデン大統領は、水面下で、両国の直接対決を阻止する交渉を行っていると発表した。
イスラエルとイランの今の動き
実際のところ、イスラエルもイランも直接の戦闘は阻止したいと考えているとみられている。
しかし、アメリカの存在があり、中東戦争になる危機があったにもかかわらず、イランが、イスラエルに向けて200発の弾道ミサイルを発射したのは、内部からの圧力もあったとも言われている。
ハニエや、ナスララに加えて、IRGC(イラン革命防衛隊)のニルフォルーシャン司令官も殺されたのに何もしないわけにはいかないのである。
また、イランのニルフォルーシャン司令官が、なぜ、この時にベイルートにいたのかについては、イランのハメネイ師のメッセージをナスララ党首に伝えるためだったことがわかっている。
そのメッセージとは、イスラエルは近く暗殺しに来るので、急ぎベイルートを出て、テヘランに来るようにということであった。しかし、ちょうどその時に、ナスララ共々死亡したということである。イランとしては、大きな屈辱である。
その結果がイスラエルへの181発のミサイルだった。
イランのIRGC司令官たちは、イスラエルにミサイルを発射する際、イスラエルに暗殺された、ハマスのイシュマエル・ハニエ、ヒズボラのハッサン・ナスララと、ベイルートでナスララたちとともに殺されたIRGC(イラン革命防衛隊)のニルフォルーシャン司令官の写真の前で、攻撃の指示を出していた。
また、テヘラン市内のビルには、ダビデの星の形の建物に向かって集中するミサイルの絵が描かれ、「シオニズムの終わりの始まり」と書かれている。
しかし、イスラエルはそんなことには、全く恐れていない。
181発のミサイルは、アメリカやヨルダンの協力も得て、物的被害はあったが、負傷者は2人という最小限と言えるものであった。
それ以後も、国際社会の批判もものともせず、ヒズボラ、ハマス、西岸地区、フーシ派への攻撃を大胆に、強力に行っている。「イスラエルを甘く見るな」という強力なメッセージを発している。
www.bbc.com/japanese/articles/ce8dgzd075zo
イラン市民の本音は?
日本に長く在住しているイラン系ユダヤ人と話をする機会があった。その人は、ペルシャ語がわかるので、現地からのニュースやSNSも追っているという。
その人物によると、今のペゼシュキアン大統領は穏健な姿勢をみせているが、この人は昔からのイスラム主義者で、大統領に就任してからすでに、反政府だとして300人が殺されたとのこと。(未確認)イラン人たちの多くはこの政府を歓迎していないと言っていた。
しかし、政府を倒そうとすると殺されるので、イスラエルがそれをやってくれることを待ち望んでいるということだった。
イラン市民は、海外に多く住んでいるが、国内にいるイラン市民の中にも、イスラエルがナスララ党首を暗殺したことを喜んでいる人は少なくないという。イラン人は、イスラエルとネタニヤフ首相に感謝もしていると言っていた。
アメリカが中東に軍備増強
バイデン大統領は、まだ戦闘を阻止する可能性はあるとしながらも、いつ戦争になっても不思議はないとの現状も視野に入れている。最新のニュースでは、アメリカは、イスラエルがイランの石油関連施設を攻撃する可能性を示唆している。
こうした中、アメリカは、同盟国の保護を理由として、中東(地中海東部からオマーン湾)における戦闘機や兵力を拡大した。戦艦は十数隻、兵力は、通常3万4000人のところ、4万3000人になっている。
戦闘機を搭載する空母は一時2隻になっていたが、今は1隻になっている。オースティン国防相によると、さらに追加の準備もできているとのこと。
空軍は、8月からF22戦闘機はじめ、F15, F16など最強の戦闘機を含む4部隊が配備
されている。イランがイスラエルに攻撃すれば、それがイスラエルの攻撃への反撃であったとしても、これだけの米軍が、イランに、やり返す可能性があるということである。確かにイランもそう簡単には、手をだせないかもしれない。
しかし、いよいよ戦争が始まれば、アメリカが介入することになり、同盟のイギリスも巻き添えになっていく。
そうなれば、イランの背景にいるロシアや中国、北朝鮮がどう出てくるかである。世界戦争の可能性は今、私たちの目の前にあるということである。