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新型コロナ感染拡大みられず
イスラエルは4月19日から少しづつ経済と社会生活の回復を始めているが、今の所、急激な感染拡大はない。側近24時間で新たな感染者は、55人で合計1万6436人。死者は、5人で計245人。
人工呼吸器依存者は63人にまで減少したが、この63人を含め、78人が重症と数えられている。一方、感染したが回復した人は、1万1229人となり、今も感染しているとされる人の数は5000人を下回っている。
www.timesofisrael.com/number-of-active-covid-19-cases-in-israel-drops-below-5000-no-new-deaths/
細かい条件つきでほぼ経済・社会生活再開
4月19日から少しづつ拡大していた経済活動だが、5月4日からは、図書館、ホテル、国立公園、動物園なども再開。医療関係以外のビジネスも再開となった。
ただし、図書館では、パーソナル・ディスタンスは言うまでもなく、カウンターで人々が団子にならないよう、ディバイダーをつける他、返却された本は、3日間触らないようにするなどの細かい指示が出ている。
7日からはモールとマーケット、ジムも再開されたが、20平方メートルに2人までという制限は継続。入り口には、入場できる人数を表示することが義務付けられている。また、中での飲食は、試食も含めて禁止。
5階建ビルの場合、これまでエレベーターには2人までとの制限があったが、最大キャパの半数までは許可。
集まっての祈りについては、屋外であれば19人まで。割礼式は19人までは許可。20人以上、50人までの集会は5月17日以降に許可になる予定で、その時からは、屋外であれば、50人までの結婚式も許可する。その後、6月14日までには、すべての集会も再開を許可する予定とのこと。
精神科の診療では表情を見ることが重要になる。マスクをはずした診察を可能とする。しかし、医師と患者の感覚は3メートルまで。
www.timesofisrael.com/malls-libraries-gyms-and-zoos-the-businesses-that-can-reopen-under-new-rules/
また家族が、祖父母を訪問することも可能になる。
入り口で体温チェック:マハネイ・ヤフダ
7日には、エルサレムのマハネイ・ヤフダマーケットもオープンしたが、入場は一時期の入場は750人までと制限された。入り口には検温所が設置され、熱のない人だけが、マーケットに入っていった、7日は、エルサレム市のモシェ・リヨン市長もマーケットを訪問し、市場の人々と再開を祝った。
ネタニヤフ首相に感謝を述べるマハネイ・ヤフダの店主たち
エルサレムの他に、テルアビブのカルメルマーケット、ベエルシェバ、ハイファでもマーケットはオープンとなった。イスラエルの気温は、現在、テルアビブで23−24度。女性たちは、マスクはつけてもショーツ姿の人もいる。エルサレムは15−19度である。
www.timesofisrael.com/israelis-head-to-malls-markets-and-gyms-after-six-weeks-of-closure/
www.timesofisrael.com/israelis-enjoy-warm-friday-at-beaches-markets-after-virus-restrictions-eased/
嘆きの壁:分離壁設置で同時に500人まで
嘆きの壁での祈りも可能となったが、感染予防のため、人々が近づかないよう、分離壁を設置。同時に500人以上が入らないような形になっている。また、飲食も今の所、禁止。右の同時ビデオを参照。
失業率27%・家庭内暴力20%増
イスラエルでは、120万人が職を失った。失業率は4%から一気に27%である。失業保険をもらえる人もいるが、自営業者への補償は、通常収益の70%で最大1万500シェケル(約33万円)。実際に銀行に振り込まれるまでには時間がかかる。
イスラエル人は、日本人以上に貯金ではなく、マイナスで自転車創業の人が多いと言われる中、経済回復で、早く仕事が回復することが望まれる。しかし、観光業については、海外からの入国を受け入れるまでには至っていないので、まだもう少し時間がかかりそうである。
筆者の観光ガイドの友人は、バーチャル・ツアーを始めた。映像を見ながら、ガイドが説明する。参加する人は増えてきているという。新しい開拓がこれから必要になりそうである。
また、1ヶ月半、外出規制となって以来、家庭内暴力の悪化が指摘されていた。厚生省福祉課によると、増加率は20%に及び、家庭内暴力が原因とみられる自殺が4件(男性2人、女性2人)発生していたとのこと。
家庭内暴力に対する相談は、3月15日から4月15日までに244件、4月16日から5月4日までには、400件と激増していた。またアラブ人社会での家庭内暴力もかなり悪化していたとのことで、外出規制緩和は、まさにいまぎりぎりであったようである。
ニューヨークタイムス記者がイスラエルの対コロナ対策に嫌味
ニューヨークタイムスの記者が、イスラエル防衛省がコロナ対策に奔走する姿を見て、「”人を殺すための技術開発の最前線を行く”イスラエルの防衛省が、その技術を今は命を救うために使っている。」と評するツイートを出した。
いいのか悪いのかわからない感じだが、在米イスラエル大使のロン・デーマー氏は、「ニューヨークタイムは、ユダヤ人の国の悪魔化に余念がないが、今回もまたそれをやっている。」と反論した。
中世のペストのとき、宗教的にも手洗いが日常的であったユダヤ人の感染者は、他よりも少なかったという。それで、ヨーロッパでは、ユダヤ人がペストをまいたなどとデマが出て、恐ろしい反ユダヤ主義暴力につながっていったのであった。今回も、アメリカ、ヨーロッパで、反ユダヤ的な圧迫が広がっていると言われている。
石のひとりごと
通常は、イスラエルはアバウトで、日本が詳細なのだが、今回のコロナ対策に関しては、全く逆で、イスラエルはかなり詳細で、日本は、かなりアバウトにみえる。
日本は、1億2000万人もいるので、国として一括した指示は難しいと思うが、これからは、各都道府県の知事たちが、段階を追った計画的な解除を行い、その都度、イスラエルほどに詳細な指示を、数字を持って出してくれると分かりやすいのではないかと思う。
また、イスラエルでは、移動式の検査車が使われている。検体採取をする人がボックスの中に入っているので、感染の心配なく、検体を採取できる。車なので、移動もできる。こうした新しい形の検査スタイルも取り入れてはいかがだろうか。
大きな危機だが、生き延びるために、人々は模索している。これからどんな新しい動きが出てくるのか、どんな新しい時代になっていくのか、たくましいイスラエルに注目していきたい。