イスラエルのホロコーストサバイバー:新型コロナ犠牲者900人 2021.1.28

アウシュビッツ強制収容所に入れられた人に特有の番号刺青 出展:Wikipedia

イスラエルのサバイバーたち

ホロコーストのサバイバーは、高齢化が進んでおり、その人口は毎年急激に減少している。昨年中に1万7000人が死亡して、今年の国際ホロコースト記念日の時点で、イスラエル国内に生存しているサバイバーは、17万9600人となった。

現時点で生存しているサバイバーは全員、75歳以上で、このうち17%が90歳以上。100歳以上は850人である。通常、女性の方が長生きすると言われているように、サバイバーも60%は女性である。

www.jpost.com/israel-news/900-holocaust-survivors-died-of-covid-19-in-israel-in-2020-656763

ナチスドイツは、ヨーロッパだけでなく、北アフリカや中東にまで迫害の足を伸ばしていた。今、イスラエルで生き残っているサバイバーのうち、64%はヨーロッパ出身。16%はモロッコ、11%はイラク、4%はチュニジア、2%はアルジェリアとリビアとなっている。

www.timesofisrael.com/ahead-of-holocaust-remembrance-day-israel-says-900-survivors-died-of-covid-19/

サバイバーのコロナ関連死900人

イスラエルの中央統計局によると、これまでにコロナで死亡したサバイバーは、900人にのぼっている。今現在、サバイバー5300人が陽性と診断されていることから計算すると、サバイバーのコロナによる死亡率は16%となり、同じ年齢の高齢者と同じぐらいだとのこと。

なお、ホロコーストサバイバーの中には、家族とともに住んでいる人もいるが、独居の人や、高齢者施設にいる人が最も多いとみられる。

イスラエルのコロナ現状:変異種の懸念

イスラエルでは、ワクチン接種が進められており、すでに273万人近い人(3人に1人)が少なくとも1回目のワクチン接種を受けている。2回完了した人は、131万5179人。昨日からは、35歳以上の人の接種が始まっている。

しかし、1日の新規感染者は、まだ8600人を超えており、陽性率も9.8%と高止まりである。現在の陽性者は、7万4323人。重症者は1173人。このうち、414人が重篤とされ、313人は人工呼吸器依存である。26日、イスラエルでは、あらたな重症者が160人も増えたという。これまでの最大を記録した。

イスラエルでは、様々な変異種が、どんどん発生していると懸念されている。また、子供たちへの感染や重症化が拡大しているのに、子供たちへのワクチンが検討されていないとの懸念も出始めている。

このため、政府は、25日からベングリオン空港からの旅客機の受け入れを停止した。期間は31日までとされているが、延期の可能性もある。また、国内のロックダウンも31日までの予定になっているが、政府はまだ、延長か停止かでもめているもようである。

www.timesofisrael.com/israel-passes-4500-covid-deaths-as-officials-said-stumped-by-high-case-count/

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。