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カタールのドーハで交渉再会へ
ガザのハマス最高指導者ヤヒヤ・シンワルが死亡したことを受けて、人質交換の交渉がカタールのドーハで、27日(日)、再開されることとなった。
イスラエルからは、諜報機関モサドのバルネア長官が出席し、アメリカのバーンズCIA長官と、カタールのアル・タニ首相と対談する。ハマスからの出席はないが、関係国がハマスとの対談を取り次ぐとみられる。
エジプトのシシ大統領が、27日(日)、2日間の停戦と引き換えに、イスラエル人の人質4人の解放と、イスラエルにいる数人のパレスチナ囚人の交換することを提示したと発表した。
エジプトが独自にハマスと連絡をとっていたことは伝えられていた。イスラエルの国内メディアによると、エジプトは、この案を先週中に、イスラエルのバルネア長官に伝え、バルネア長官は、エジプトの新しく就任した諜報機関ハッサン・ラシェッド長官との会談も行っていた。
その後、この件は、国会でも審議が行われていた。議員の大多数はこの案に賛成したが、極右のベン・グヴィル国内治安相と、スモトリッチ軽竿症の2人が反対したとのこと。ネタニヤフ首相は、採択をとることは控えていた。
なお、これより前に、イスラエルからハマスに対し、人質を全員返還するなら、生きてガザを脱出することを許可するという案を提示していた。ハマスはこれを断っていた。
ドーハでの会談の前日26日(土)には、毎週行われている人質家族たちを中心とするデモからは、人質を取り戻すには交渉しかないとして、バルネア長官が結果を持ち帰ることを期待していると表明していた。
www.timesofisrael.com/at-weekly-rallies-hostage-families-urge-one-phase-deal-to-bring-everyone-home/
また、ガラント防衛相は、武力だけでは全部解決はできないとして、人質を一人でも取り戻すためには、ある程度の痛みも覚悟しなければならないと表明した。
人質の現状は?:元人質のミア・シェムさんが国連安保理で壮絶な証言
今もまだガザにいる人質の数は、変動があるが、Times of Israelが現時点で伝えているところによると、97人。このうち34人は死亡が確認されている。ということは、生きている人質は63人である。
ハマスが当初拉致した人質は251人。まず4人が自力などで解放され、昨年11月には交渉で、105人が解放された。8人は武力で奪回。軍の誤爆で死亡した3人を含め、37人が遺体となって帰還している。
また10月7日以前に、自らガザに入った民間人2人と、2014年の戦争の時に死亡したイスラエル兵2人の遺体が、まだガザ内部に残されている。
人質の取り扱いについては、先週、シンワル直筆で、グループ分けや、人質をどう取り扱うかなどを指示する書類が公開されていた。人質は重要な交渉材料なので、命は守るよう指示していたほか、年齢や性別でわけてどこに置くかなども記されていた。
♦️ سري للغاية وخاص بـ #القدس #القدس تنشر وصايا الشهيد #يحيى_السنوار للمقاتلين وتفاصيل بخط يده حول المحتجزين:
• «فإما مَنّاً بعدُ وإما فداءً» الآية رقم ٤ من «سورة محمد»
• «وعودوا المريض وأطعموا الجائع وفكّوا العاني» حديث شريف.
• «ما لا يتم الواجب إلا به فهو واجب» قاعدة… pic.twitter.com/5GAl3h74q6— جريدة القدس (@alqudsnewspaper) October 24, 2024
また、国連安保理では、24日(木)、元人質のアミット・シェムさんが、ハマスのしたことを証言していた。アミットさんは、拉致されたあと、40メートル地下に連れて行かれ、ハマス警備員に壮絶な性的暴行を受けたことをそのまま語った。
Hamas Captivity Survivor Amit Soussana Testifies at UN Security Council
"I urge you, It is your responsibility to protect human rights, to combat terrorism, and to bring those responsible for these heinous crimes to justice. The world is watching, waiting for the UN Security… pic.twitter.com/mtrzCXHVNH
— Bring Them Home Now (@bringhomenow) October 23, 2024
ミアさんは、その後、別の場所を移されて、逆さに吊るされるなどの拷問を受けた。しかし、そこにあの警備員がいないので幸運だと感じたとさえ語っていた。
語ることで、あの恐怖を再び味わうことになっても、他の人質たちのために語り続けると語る約束をしたと言っている。
石のひとりごと
今日行われる人質交渉だが、イスラエルは、ナスララに続いてシンワルを殺害。イランへの攻撃も目標を達成した様相にあるので、ハマスに譲歩することはないだろう。
ガザでまだ生きている人質は、今どうしているのだろうか。確かになんとしてでも彼らが戻ってくるように祈らなければならない。しかし、戻ったとしても、その心には、地獄の日々の記憶が続いていくことだろう。
それにしても、世界には、ハマスを支持し、イスラエルが存在していることが間違いなのだとして、10月7日のハマスの行為を正当化する人もいる。この犯罪をどう、正当化できるというのだろうか。