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イスラエルとハマスが遅れて1月16日(木)合意に署名
1月15日(水)午後、カタールの首都ドーハで、イスラエルとハマスが、停戦と人質交換の合意に達したとの発表が、世界を駆け巡った。予定では、16日(木)に双方の代表が、それぞれの本国と確認後、合意書に署名することになっていた。
しかし、その後、ハマスが土壇場で、イスラエルが釈放するパレスチナ囚人を誰にするかについて拒否権がないなどと、約束にないことを要求してきた。イスラエルの方も、段階的に撤退してもフィラデルフィ回廊からは撤退しないと強調し、合意の不一致が表面化した。
このため、ネタニヤフ首相が、内閣での合意に関する決議を延期すると発表。合意への署名ができない状況なった。しかし、なんとかこれをクリアしたようで、両者は、予定より遅いが、17日(金)早朝、合意に署名した。
イスラエルを代表して署名したのは、モサドのバルネア長官である。その後、イスラエルでは、まず高等法院がこれを承認し、続いて、治安閣議で、釈放するパレスチナ囚人の名簿と合意の確認と承認を行う。
その後。閣議全体での決議が行われることになる。
*前記事では国会での採択と伝えていたが、採択を行うのは国会ではなく、34人からなる連立政権を構成する全閣議とのこと。
カタールでの署名が遅れて17日(金)、安息日入りの日になったことから、その後、高等法院、続いて、イスラエルでの治安閣議、全体閣議での審議を全部終えることが困難となった。
このため、全体閣議での決議が行われるのは、18日(土)日没以降とされた。このため、停戦の発効は、19日(日)午後12:15の予定だが、初日の捕虜交換は、19日(日)であったところ、20日(月)にずれ込む見込みとなった。
調印直前の混乱:イスラエルはガザへ空爆も
1)イスラエル国内は苦渋の決断
ネタニヤフ首相が、全体閣議を安息日明けにまで延期した背景には、イスラエル政府内で賛否両論の混乱があったからとも考えられている。今回は、もう合意書に署名していることと、高等法院、治安閣議、また全体閣議でも、合意が覆されることはないと見られている。
しかし、そういう中でも極右勢力は合意には反対の意見をつらぬいている。極右のベン・グビル氏は、もしこの合意が発効する場合は、内閣を離脱すると強い反対の意志を表明。
宗教シオニストのスモトリッチ氏は、第二段階で戦闘再開できないという約束であるなら、内閣を離脱すると強力な反対意見を表明する混乱ぶりであった。
市民の中からも、右派系の人々が、エルサレムのクネセット(国会)前と、最高裁判所前で、合意に反対を表明するデモを行った。
この合意では、人質の3分の2はガザに残される他、ハマス殲滅という最終目的が中途半端になってしまう可能性もある。
ガザ避難民は両手を上げてのお祝いとなるが、イスラエルとしては、非常に心痛む、苦渋の決断なのである。
2)イスラエルがガザ数十か所空爆:ハマスは少なくとも75人死亡と
こうした中、15日夜から16日にかけて、イスラエル軍が、ガザ北部ジャバリヤ含む数十か所への空爆を行った。
イスラエル軍は、10月7日の襲撃に加わった者たちが標的だったと言っている。
ハマスは、この攻撃で少なくとも75人が死亡。数百人が負傷したと発表した。
タイミング的に、ハマスを少しでも無力化する最後のチャンスであり、右派政治家たちの怒りを鎮める目的もあったのではないかとも思わされるところである。
www.timesofisrael.com/israeli-airstrikes-pound-gaza-killing-oct-7-terrorist-as-sides-finalize-deal/