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ガザ淡水化施設への電力回復作業開始
ガザ地区の電力は大規模に停止しており、電力は非常に限られている。
イスラエルは3日、カンユニスでユニセフが運営する、海水の淡水化施設にイスラエルから電力を送れるようにするための作業を開始した。
これが完成したら、カンユニスだけでなく、人道地域とされるアル・マワシ、デイール・アル・バラなど、ガザ住民230万人のうち190万人がいるとされる地域に、今は、1日に5000キロリットルしか供給できていない飲用水を2万キロリットル給水が可能となる。
この淡水化施設は、2017年に国連の資金援助で建てられたものである。イスラエルから来る電気は、淡水化施設へ直行とされ、ハマスが横から強奪できないようにしているとのこと。
しかし、いずれにしても、水の配給を受けるのは、市民だけでなく、ハマス戦闘員らもである。
右派政治家にスモトリッチ経済相は、これについて、ハマスを非武装化する前に助けているのはどうかしているとして、直ちにこれをやめるようにと訴えるコメントをXにアップした。
しかし、ガザでは水不足により伝染病が蔓延しており、これから夏に入ってさらに状況が悪化することが予想されている。そこへ入っていくイスラエル軍戦闘員が感染することを防ぐという目的もある。
またこれにより、国際社会のイスラエルへの非難をいくらかでも交わす目的もある。
なお、この給水を受ける地域以外のガザ北部には、20万人、ラファにも2万人のパレスチナ人がいるとのこと。
ガザが深刻な飢餓状態にはないという数値的証拠
ガザ地区は、戦争以来、深刻な飢餓状態にあるとされ、イスラエルにその責任があるといわれている。
しかし、映像で見る限り、それほど飢餓状態にある人々はいないように見える。市場には食料も並んでいる。
Times of Israelではそれを数値で表す記事を上げていた。
国連は、IPC(総合的食料安全補償レベル)を基準として、飢餓状態を判断している。
② フェーズ1:食料は十分(食料不良の人口は5%未満)
② フェーズ2:食料不安(食料を得ることに大幅な犠牲が必要・人口の5-10%が急性栄養不良)
③ フェーズ3:急性食料不安(食料を得るために財産を放棄するなど・人口の10-15%が急性栄養不良)
④ フェーズ4:人道的危機(飢餓によるリスクが高まっている・人口の15-30%が急性栄養不良)
⑤ フェーズ5:壊滅的飢餓・飢饉・人口の30%が急性栄養不良・1万人中2人が餓死
ja.wfp.org/stories/5-steps-food-security-famine
IPCは、今年3月の時点で、ガザは7月15日までに50%がフェーズ5に移行すると警告していた。これにより、世界は、イスラエルへの非難の声を大にしたのであった。
しかし、先週、IPCが発表したところによると、ガザ地区住民の15%がフェーズ5、29%がフェーズ4、51%がフェーズ3、5%がフェーズ2であった。50%ではなく、15%と大きく外していたことになる。
また飢餓のもう一つの指標として使われるMUACは、6〜59か月の子供の中上腕周囲径がある。どれだけ痩せたかを示すものである。今年3月、ガザの中でも最も飢餓の可能性が高いとされるガザ北部でのMUAC測定を行った。
結果、問題ありとされる数値が12.4%から16.5%に増加する、言い換えれば、フェーズ4から5に移行すると警告が出された。
しかし、実際には、ガザ北部地域のMUACは、急激に低下し1%になっていたのである。なお、ガザ南部ラファにおけるMUACは、1-12%の間であり、飢餓のリスクが高いとはいえないということになる。
また、パレスチナ人の世論調査によると、4月20日から6月9日までの間に、戦争によるものを含め死者数は42人。1万人あたりで計算すると0.55人であった。
1人以下である。これに戦争による死者も入っていることになるので、栄養失調などで死亡した人はほぼ0に近いとも考えられるわけである。
飢餓状態とは、1万人あたり少なくとも成人2人、子供4人が餓死したことが確認されることが定義づけられていることから、ガザが深刻な飢餓状態にあるというのは正しくないということである。
www.timesofisrael.com/new-gaza-famine-report-reveals-grim-march-predictions-were-vastly-exaggerated/
とはいえ、これは数値であり、ガザに食料や水に困っている人がいることは否定できない事実。
イスラエルは、ガザへの人道支援物資のトラックは、毎日数百台づつ入っているが、そこからの搬送が、問題になっている。
ハマスなどの略奪や無法状態にあることから、ガザ内部での国連による搬送が滞っていると、イスラエルは主張し続けている。