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イスラエルがイラン軍事施設を攻撃
25日から26日深夜(安息日)ごろ、イランのテヘランと近郊のカラジ、イラン各地で大きな爆撃があった。テヘランの空港近くでも爆発があったようだが、まだ各地からのSNSに留まっている。以下は爆発の音
正確に攻撃がどこであったのか、どの程度の被害が出ているのか、イランからの正式な発表はない。しかし、Times of Israelによると、イランの反公営のメディアが、テヘラン西部と南部の複数の軍事基地が攻撃されており、テヘランの石油関連施設で火災や爆発の様子はないとも伝えていた。
以下は意外に平静を保っているテヘラン市内の様子
時間が経つごとに情報が出てくるのだが、その後、イスラエルからイランへ発進したのは、最新F35を含む戦闘機100機で、イランへの攻撃は3時間で20カ所。シリアへの攻撃も行っていたとのこと。
イスラエルからイランまでは2000キロあり、飛行しながらの燃料補給も必要になる。にもかかわらず、100機もの戦闘機が移動したということは、相当な計画力、完璧な作戦が必要になる。
しかも迎撃はほぼすべて失敗に終わっており、イスラエルの戦闘機が撃墜されたという情報もない。
攻撃後の26日午前2時半(日本時間8時半)イスラエル軍のハガリ報道官が、イスラエルがイランの軍事施設への非常に正確な攻撃を行ったとの声明を出した。以前、物議となっていた核施設や、石油関連施設が攻撃されたのではないということである。
ハガリ報道官は、イランの現政権が、10月7日以来、傀儡テロ組織を利用して、イラン自体をも含め、7方向(ハマス、西岸地区、ヒズボラ、イエメン、シリア、イラク、イラン)からイスラエルを攻撃し続けたと述べ、この攻撃が、すべての国が持つ自衛権の行使であると表明した。
また、イスラエル軍はあらゆる準備ができているとして、イランの反撃に、確実に応じていくことを宣言している。
ネタニヤフ首相からの声明はないが、この直後に、テルアビブのIDF中央基地にあたるキリヤで、ハレヴィ参謀総長、ガラント防衛相たちとともにいる様子が伝えられていた。
イランへの攻撃は、軍部だけの行動ではないということである。
イスラエルは、4月に続いて、10月1日にもミサイルやドローン200発を発射したことに対し、必ず反撃すると公に宣言していた。
しかし、その計画を含むデータがリークしたために、作戦が遅れたと言われたこともあり、攻撃は、いつかはあるが、いつかはわからないという緊張が続いていた。
しかし、ハマスとヒズボラもかなり弱体化してきていることから、次はイランとの気配が高まっていた。イランは、昨日、イスラエルの攻撃に準備はできており、必ず反撃すると表明。しかし、同時にまだ、イスラエルとの直接対峙は控えたいという動きも見せていた。攻撃はその夜のことであった。
ロイター通信によると、攻撃について、ホワイトハウスは連絡を受けていたことは認めたが、アメリカは無関係だと言っている。しかし、アメリカは、25日(金)、ドイツに配備していた戦闘機F16を中東のどこかに配備したと発表しており、イスラエルとイランの戦争には備えていたといえる。
www.jpost.com/breaking-news/article-826102
イランは戦争回避か?イスラエルのミサイルは迎撃したと表明
イスラエルによる攻撃後、今の所、イランからもヒズボラからも大きな反撃はない。イランは攻撃を受け、テヘラン空港を閉鎖。すべてのフライトをキャンセルしている。
イスラエルからの攻撃の後、イランは、テヘラン郊外で聞こえた爆発音は、イランの迎撃ミサイルの音だと発表した。これについては、Ynet に対し、イスラエル軍関係が、これは嘘であり、迎撃は全て失敗していたと言っていたとのこと。
イラン政府は、現時点ではまだイスラエルとの直接対戦はやはり避けたいと考えているかのような動きである。
www.ynetnews.com/article/skgsc2yljx#autoplay
攻撃から数時間後、イスラエルはイランに対し、これ以上エスカレートさせないようにと警告を発した。
イラン攻撃後にイスラエル北部とレバノン南部にも?地震
イスラエルがイランを攻撃した夜が明けた朝7時すぎ(日本時間午後1時過ぎ)、イスラエル北部では広範囲で、地震発生のサイレンが鳴った。
左の図は、イスラエル国内で、サイレンがなった地域である。おそらく、レバノン南部でも揺れたのではないかと推測される。
その後、特に報道はないので、地震の規模は小さく、被害もなかったものとは思われるが、タイミング的にも、地域的にも興味深かったので、お伝えしておく。
*この記事を書いた数時間後、サイレンは鳴ったものの、実際の地震は発生していなかったとの記事が出た。イスラエル軍によると、レバノンとの国境付近で管理内の計画的な爆発があり、それに反応しただけであったとのこと。
しかし、サイレンを聞いた人々は恐怖に包まれていた。イスラエルがイランへの攻撃をした直後であった上に、イスラエルでは、およそ100年ごとに大地震が発生しており、もうその時期に入っているからである。なんとも・・・な、タイミングであった。
www.ynetnews.com/article/sjukxbqxye
石のひとりごと
イランは意外に国内情勢で苦労している可能性がある。在日イラン人の知人によると、国内のペルシャ語のSNSでは、現政権を攻撃するイスラエル、ネタニヤフ首相にエールを送る書き込みがかなり出ているとのこと。現イスラム政権を支持していないイラン市民は少なくないという。
だいたいイランは、もともとイスラム教の国ではなく、ペルシャであり、ゾロアスター教の国だった。また最近では、イランで、リバイバル(キリスト教への改修者の波)が起こっているというニュースも聞く。
そういえば、ハガリ報道官は、イランと言わず、イラン政権という言葉でイランを避難している。ガザと同様、戦っているのは過激な支配者であり、そこにいる人々と戦っているのではないということである。
イラン国内のこの様子に、イスラエルやアメリカが反応していないのでどうかとは思うが、イラン内部の人々は、意外にイスラエル支持者が少なくないということも覚えていいかもしれない。
しかし、今のイラン政権はロシアに接近している。そのロシアは、今、北朝鮮の兵隊を雇ってウクライナに派遣しているとして、北東アジアと世界を震え上がらせている。イランがロシアや北朝鮮、中国ともつながる中、どんな手を出してくるのか。またサウジアラビアなど湾岸諸国はどう出るのか。注意が必要である