イシュマエル・ハニエの息子3人と孫4人死亡:イスラエルの攻撃で 2024.4.11

Three sons of Hamas leader Ismail Haniyeh, who were allegedly killed in an Israeli airstrike in Gaza on April 10, 2024. (Photo distributed on Palestinian Telegram channels)

10日、イスラエル軍は、ガザ市で、ハマス指導者イシュマエル・ハニエの3人の息子、ハゼム、アミール、モハンマドと、孫4人(女の子3人と男の子1人)が乗っていた車を空爆。全員が死亡した。ハニエとハマスもこれを認めた。

イスラエル軍によると、3人のうちアミールは、ハマスの突撃部隊司令官で、ハゼムとモハンマドは司令官ではないが、軍事部門所属であった。IDFによると、3人は、ガザ市でテロ活動を計画していたとのこと。

息子3人の死後、ハニエはインタビューで、息子3人を殉教者と呼び、「3人のきよい血は、エルサレムとアルアクサの解放という目標のために流された。

我々はこの道を進み続ける。これからも躊躇しない。彼らの血は、希望と将来、自由を我々の市民にもたらすことになる。

このことで、イスラエルが、交渉で我々が引き下がると思っているのなら、大まちがいだ。我々が要求を引き下げることはない」と豪語した。

アルジャジーラによると、ハニエの子供は13人で、親族の数は相当多いとみられる。その中で、これまでに60人がイスラエルとの戦争で死亡したという。

ハニエの長男は、フェイスブックで、3人の兄弟が殉教するという栄誉を与えてくれた神に感謝すると書き込んでいるとのこと。

www.timesofisrael.com/hamas-leader-ismail-haniyeh-says-3-of-his-sons-killed-in-israeli-strike-in-gaza-city/

なお、Times of Israelによると、3人の暗殺は、IDFの南部担当指揮系統からの指示で実行されたが、戦時内閣で決定されたことではなく、ネタニヤフ首相も、ガラント防衛相も知らなかったという。

先にNGOのボランティア7人が死亡した際のように、現場指揮官のとっさの判断だったと伝えられている。

石のひとりごと:イスラエルが戦っている敵とは

このニュースは世界にどう広がっていくだろうか。カイロで、交渉が行われているこのタイミングで、3人の息子と4人の孫を殺したという事態に、イスラエルはどうみられるだろうか。

また、ガザにいる避難民たちは、どう受け取っているだろうか。

子供や孫を失うことは、辛いかもしれないが、ハニエは、すでに覚悟していていたことだったと思う。3人の息子は戦闘員であったし、逆に、息子たち孫たちの死を通して、ハマス戦闘員たちを奮い立たせたかもしれない。もしかしたら、アラブ諸国からの同情も得られるかもしれない。

まさかイスラエルが利用されたとは思わないが、結果的には、イスラエルには不利に見えることかもしれない。それが現場だけの判断だったということであり、イスラエル軍の中に混乱があったのかとの気配も伝えられている。

しかし、壮絶な戦場の様子は、外にいる者にはわからない。いちいち指示を待っている余裕はないというのも戦場の現状だろう。外にいる者たちが、批判するなどはできないということも考えるべきだろう。

先日、在日のユダヤ教ラビと話をした。イスラエルでは、超正統派のイシバ学生たちが、従軍を拒否するデモを行い、衝突する様子が伝えられていた。

しかし、このラビによると、実際には、かなり多くの超正統派たちが、従軍してハマスとの実戦に加わっているという。つまり、銃をもって、たとえ十戒に反しても、敵を殺さなければならないということである。それは、イエスを信じるメシアニックジューの兵士も同じことである。

ラビの義理の兄も従軍して、最近撤退したが、ずっとガザで戦っていたという。戦場では、超正統派も世俗派も、関係ない。一緒にハマスと戦っている。同じ部隊では、一つの家族なのだと言っていた。

ハマスは、まだ幼稚園にいるような小さな子供に、イスラエルを殺すこと、そのための銃を持つことを教えている。ガザで育ったパレスチナ人、つまりは、ハニエの息子のような青年たちは、イスラエルを殺すことが、その人生のすべてなのであり、アイデンティティでもある。

だから、イスラエル人をより多く殺せば、最大の目標達成なのであり、その途上でたとえ殺されても、それがイスラエル軍によるものであるなら、殉教という目標達成になる。

ラビは、「こんな人々を相手に、また戦場という異常な事態にある中で、どうやって正義を論じるというのか。イスラエルはどの時代にも常に、アマレクと呼ばれるようなイスラエル殲滅を試みる敵に直面してきた。今もそうである。だから戦うしかない。

それに今は、絶対に人質を取り戻さなければならない。私たちを悪くいうことはできないはずだ」と、ラビは語っていた。

イスラエルが直面している敵が、どれほどの脅威であるのか。私たち外にいるものは、易々とイスラエルを批判することはできない。イスラエルを批判する前に、殉教が栄誉と教えこみ、パレスチナ人をも苦しめている霊的現状をも見て、それをとりなすべきではないかと思う。

しかし、イスラエルが世界中に敵視される今の様相は、終わりの時に起こると聖書に預言されている通りの事態に近づいているのであり、そのイスラエルを助けに来るのが、救い主メシアであると書かれている。ラビは、メシアはもう来ると語っていた。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。