日本でも報じられていると思うが、注目すべき項目として、イギリスの混乱に注目したい。
イギリスのメイ首相は、EUからの離脱に伴い、様々な取り決めをEUとの間で協議した。あとは、イギリス議会が承認すればよいだけなのであるが、イギリスでは、このメイ首相が持ち帰った合意案を受け入れられないとする意見が強大になっている。
1月15日、イギリス議会では、メイ首相の離脱案に賛成するかどうかの採択を行った。結果、反対票が賛成票を 230票も上回り、メイ首相案は否決された。
これを受けて野党労働党(コルビン党首:反ユダヤ主義者との指摘あり)は、メイ首相の不信任案を提出。16日夜、これに関する決済が行われたが、予想通り、不信任案は否決。メイ政権は、かろうじて生き延びた形である。
今後、メイ首相は3日以内に、代替案を出すことになっているが、EU側は、もう合意内容を変更する用意はないと明言している。このままいけば、離脱期限の3月29日には、「合意なき離脱」に突入することになる。
合意なき離脱になった場合、いきなり貿易すべてに関税がかかる他、細かい話が、イギリスの運転免許をEUでは使えないなどの問題が発生してくる。
しばらく貿易がストップすることも考えられるため、薬品会社は薬品をストックしたり、イギリスのホンダは、部品搬入が滞ることを見越して、3月29日から操業を1週間休業するなどを検討しているという。
最も困るのはアイルランド(イギリスの左側の島)。アイルランドは北部はイギリス領だが、南部は独立国アイルランドで、EU加盟国。アイルランドは南北で関税や通行まで遮断されることになる。
*メイ首相とEUの離脱案には、来年末までの移行期間が定められており、その間に、これらの詳細を決めていくことになっていた。
www.nikkei.com/article/DGXMZO4004466015012019000000/
<国を二分して大論争>
イギリスでは、離脱期限を延長することや、離脱そのものに関して、国民投票をやり直すべきだとの声もある。
しかし、EUは今や破滅寸前であるし、イギリスは一国でも十分やっていけるのだから、合意などなくても大丈夫だとする声も小さくない。国はおおもめにもめているといえる。
こうした事態を受け、EUの理事会議長ドナルド・タスク氏は、イギリスが取りうる方策は、いっそのことEU離脱をキャンセルし、EUに残留することではないかと示唆するコメントを出した。しかし、イギリスが離脱するということには変わりはなさそうである。
www.bbc.com/news/world-europe-46887188
この先、イギリスがどう動いていくのか。世界経済はそれにどう反応するのか。EUは破滅への一途をたどっていくのか。世界はかたずをのんでイギリスとEUの先行きを見守り、備えに入り始めている。