1)ベツサイダ
ガリラヤ湖北部沿岸のベツサイダではないかと見られる地域からは、鉄器時代(旧約時代)の遺跡が見つかってはいたものの、新約時代のベツサイダにつながるようなローマ時代の遺跡はまだ発見されていなかった。
今回、新しく見つかったのはそのローマ時代の遺跡で、ヘロデ大王の息子ピリポが、小さなユダヤの漁村を増改築してつくったポリス、ジュリアスの遺跡と考えられている。
みつかったのは、ローマ時代のバスハウス、同時代のモザイクのほか、5世紀のガラスモザイクで、1世紀のベツサイダのものではない。
しかし、ガラスモザイクは、ビザンチン時代、ここに、重要な教会があったということを示唆しており、新約時代のベツサイダがあった場所である可能性が高い。
まだごく一部しか発掘されていないため、将来ベツサイダのものが出てくる可能性はある。
news.nationalgeographic.com/2017/08/jesus-bible-apostles-bethsaida-israel-archaeology/
2)ガリラヤのカナ:2000年前の石器工場
イスラエル考古学局は、ナザレ近郊下ガリラヤ地方で、ローマ時代の石器工場を発見したと発表した。レイナと呼ばれる町で、地域のスポーツセンターを建設中に発見された遺跡である。レイナは、聖書時代、ガリラヤのカナであったと考えられている。
パレスチナ地方では、長く陶器が使われてきたが、1世紀、つまりイエス時代には、柔かい白い石灰石の食器が一般的に用いられた。陶器は、汚れたものに触れた場合、2度と使えなくなるので破壊されるが、石の器は、宗教的な汚れを受けないとされるため、長く使えたからである。
今回発見されたのは、いろいろな過程にある石の器であったことから、工場であると判断された。
新約聖書によると、イエスがガリラヤのカナで、6つの石がめの水をぶどう酒に変えたという奇跡が記されている(ヨハネ2:6)。この石がめは、この石器工場で作られた可能性が高い。