アラブ人クリスチャンと10月7日被災ユダヤ人が「ハリケーン」をデュエット 2025.1.4

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早いもので、もうユーロビジョンの選考の時期が来ている。Times of Israelによると、有力候補の一人、ヴァレリー・ハマティさん(25)は、テルアビブ・ヤッフォで生まれ育ったアラブ人クリスチャンである。

もしハマティさんが、選ばれたらアラブ人がイスラエルを代表するという、異例のこととなり、賛否両論になっている。

イスラムのアラブ人からは反発が出ている一方、ユダヤ人からも、イスラエルはユダヤ人の国だとハマティさんが選ばれることに反発する声が出ている。

ハマティさん自身は、ユダヤ人の友人も多く、ガザでの人質を思うことを象徴する黄色のバッジを着用するような人である。歌手として、負傷兵が入院している病院を訪問し、10月7日の犠牲となったキブツなどを巡回。犠牲者の葬儀でも歌っている。

また、ハマティさんは、ユーロビジョンで代表になっても、アラビア語ではなく、ヘブライ語と英語で歌うと言い、アラブ人として、イスラエルを代表することは大きな誇りだと語っている。

国際社会に対し、イスラエルが多様性に寛大な国であることをアピールする可能性も期待する意見もある。

こうした中、ハマティさんは、「Rising star」、いわば日本でのスター誕生的なコンテストに、10月7日のハマスの奇襲で、両親を殺された歌手、ダニエル・ワイスさんとのデュエットで出場し、イスラエルで感動を巻き起こした。

ダニエル・ワイスさんの父親シュムリックさんは、キブツ・べエリでハマスの襲撃を受け、妻(ダニエルさんの母)を守ろうとして殺された。妻はガザへ拉致されてから殺され、遺体はすでに発見されて、イスラエルに戻っている。

シュムリックさんは、生前、ダニエルさんに、いつか、ハマティさんとデュエットするべきだと言っていたという。ダニエルさんは、このコンテストで、ハマティさんとデュエットすることが決まった時、心が震えたと言っている。

2人が歌った曲は、昨年、ユーロビジョンでエデン・ゴランさんが歌った「ハリケーン」だった。この曲は、10月7日の事件をモチーフにした「10月の雨」という歌だったが、ユーロビジョンが政治的すぎると拒否したため、「ハリケーン」と修正した歌である。

2人の声はすばらしく空に飛んでいくような声で、涙が止まらなくなる声である。チャンネル12による以下のクリップは12日前にアップされ、すでに15万回視聴されている。

石のひとりごと

私たち人間は、みんな朝起きて夜は寝る。食事し、家族を持ち、友達と楽しみことを喜ぶものである。お腹がすき、怪我をしたら痛い。愛する人が死んだら悲しい。それは、アラブ人であろうが、ユダヤ人であろうが、日本人であろうが、まったく同じである。

それなのに、また、だれも殺し合いなど望んでないはずなのに、なぜか戦争になってしまう。この歌が歌っている点でもある。

人間にある罪が原因だが、背後で何か霊的なものにおどらされている面もあるとも思わされる。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。