11月10日(月)、シリア暫定政権のシャラア大統領が、ホワイトハウスでトランプ大統領と会談した。
これまで長きにわたって、アメリカに敵対してきたシリアの大統領というだけでなく、少し前まで、元アルカイダ関係者で、国際テロリストとして、1000万ドル(15億円)の懸賞付き指名手配であったアフマド・アル・シャラア氏である。
それがホワイトハウスで、トランプ大統領と握手する姿は、まったく予想だにされない光景であった。
昨年、シリアでアル・シャラア大統領が、アサド政権を打倒すると、12月、トランプ大統領は、アル・シャラア大統領にかけられていた指名手配と、懸賞金を解除した。
アル・シャラア大統領は、今年、9月、60年ぶりに、シリア首脳として国連総会で演説。10月には、モスクワのクレムリンでプーチン大統領と会談した。
www.nytimes.com/2025/11/10/world/middleeast/syria-president-al-shara-trump-washington.html
この間に、トランプ大統領は、サウジアラビアで、アル・シャラア大統領と面会。シリアはもはや脅威ではなく、中東における同盟国になったと言っていた。また、先週には、シリアの首都ダマスカスに米軍を置くことをも示唆していた。アル・シャラア大統領は、シリアにおけるアメリカのIS掃討に参加すると表明したと伝えられている。
こうした流れの中、トランプ大統領は、アル・シャラア大統領をホワイトハウスに招くにあたり、シリアとイスラエルが、安全保障協定に合意すること、またその先には、シリアがアブラハム合意に加盟することも目標としていたと言われている。
しかし、昨年シリアが内戦になった時、イスラエルは、ヘルモン山やゴラン高原のシリア側領域に進軍してそのまま駐留を続けている。これらの地域は、シリアを見渡す地域である。アル・シャラア大統領は、この地域を返還するよう求めており、イスラエルとはまだ対立する立場である。
またシリアが関係を深めているトルコは、ネタニヤフ首相含むイスラエル人36人をジェノサイドの罪で指名手配するなど、イスラエルとの関係は最悪の状態にある。
アル・シャラア大統領は、今はまだイスラエルと直接交渉する時期ではないとし、アブラハム合意への加盟についても否定した。しかし、水面下では、アメリカが今後も交渉を続けると伝えられている。
