アメリカ参戦:バンカーバスターでイラン核施設攻撃完了と発表 2025.6.22

A U.S. official said that six B-2 bombers dropped 12 bunker-buster bombs on Fordo.Credit...Sarah Silbiger/Reuters

アメリカ参戦:バンかーバスターでイラン核施設攻撃・破壊完了と発表

(Carlos Barria/Pool via AP)

トランプ大統領は、6月22日早朝、SNSに、「ファルドー(イランの核施設)は無くなった」と投稿し、世界を震撼させた。

その後、トランプ大統領は、イスラエル時間午前5時(日本時間午前11時)にホワイトハウスから、バンス副大統領、ルビオ国務長官、ヘグセス国防相を伴って、正式な声明を発表した。

NYTより

トランプ大統領は、「少し前(6月22日早朝)、危険性で悪名高い、イランの核施設、ファルドー、ナタンツ、イスファハンを攻撃し、破壊したと発表。

この攻撃は、世界で最もテロ支援を行なっている国による、ウランの濃縮を止め、世界への核の危機を回避することを目的に実施した」と述べた。

トランプ大統領は、イランに対して、今は平和を実現するときだと述べた。

「今回の破壊は、決定的だがまだ全てを破壊したわけではない。イランがもし平和に出てこない場合は、さらなる攻撃をすることになる」と警告した。

トランプ大統領は、「イランは、40年間、「アメリカに死を、イスラエルに死を」と言い続けてきた。実際に、爆弾をしかけたりして、残酷に我々の国民を殺してきた。

犠牲者はアメリカだけで1000人、中東、世界では、数十万人が、イランの憎悪の犠牲になった。こんなことは起こさせないと決意していた」と語った。

また、イスラエルとは、かつてないほどの完璧なチームワークであったとして、作戦を実行した米空軍操縦士たちへの賞賛と、感謝を述べるとともに、ネタニヤフ首相にも感謝を表明した。

イスラエルの協力とは、アメリカの攻撃の前、戦闘開始から8日間の間に、イラン上空を制圧し、地対空ミサイルや弾道ミサイルはじめ、イランの軍事力をかなり弱体化していたことなどを指していると考えられる。

www.timesofisrael.com/full-text-of-trumps-speech-following-us-strikes-on-iranian-nuclear-facilities/

ネタニヤフ首相:力が先で平和が続く

トランプ大統領からの声明が出された後、ネタニヤフ首相も声明を出した。

ネタニヤフ首相は、アメリカのイラン核施設攻撃が成功したことに祝辞を表明。世界で最も危険な政権に対し、イスラエルはかなりの打撃を成し遂げたが、アメリカのしたことには及ばない。これは歴史を変えるほどに大きな決断だった。これは、中東、世界の繁栄と平和に続くことだと述べた。

また「トランプ大統領と私は、「力による平和」ということをよく話し合っていた。力が先であり、平和がそれに続く。今日、アメリカは非常に大きな力を行使した。

トランプ大統領に感謝する。イスラエルの人々、また文明世界からもあなたに感謝する。」と述べ、神がアメリカを祝福し、イスラエルを祝福し、両国の決して動かされることのない同盟関係を祝福してくださるように、と締めくくった。

イランの反応:これからどうなるのか

トランプ大統領は、イランへの攻撃について、これは、イランの核兵器開発を阻止することが目的であり、現政権を崩壊させることが目的ではないと言っている。

イランには、アメリカと交渉に戻り、平和な関係と将来の繁栄に向かうことを呼びかけているとも考えられる。

しかし、これはイランにとっては、アメリカに降参することを意味するだろう。イランに戦いを止める様相はない。

イランのアラグチ外相は、「アメリカは深刻な国際法と国連条項に違反した。アメリカは、永遠に続くツケをはらうことになる。

すべての国連加盟国は、この危険な犯罪違法行為に目をさまさなければならない。イランは、今、合法的に自衛の権利を行使する合法的な権利を持つものである」と述べた。

イランはすでに、イスラエルへの本格的なミサイル攻撃を開始している。また、イランのテレビでは、中東に駐留する米軍の位置を示して、米軍への攻撃も示唆している。

また、アメリカの攻撃を受けたイランは、TNP(核兵器不拡散条約)から離脱する合法的な権利も持つことになったとも表明した。

これを受けて、IAEAのグロッシ長官は、明日緊急の役員会議を招集すると発表した。

www.timesofisrael.com/liveblog_entry/iranian-lawmaker-says-us-strikes-give-iran-legal-right-to-exit-nuclear-non-proliferation-treaty/

INSS(イスラエル国家安全保障研究所)でイランに詳しい、サリット・ゼハヴィ氏は、核施設を破壊されたイランが、いまや、”カミカゼ”的(自爆?)になる可能性もあると語る。その場合、世界を相手にする結果になったとしても、ホルムズ海峡を封鎖するかもしれない。

また、弱体化したとはいえ、イラン傀儡のヒズボラ、ハマス、イエメンのフーシ派の動きも懸念される。

全世界にいるイスラエル人、ユダヤ人関連施設への攻撃の可能性も視野に入れておくべきだと警告している。

国際社会の反応

国際社会からの反応はまだ一部だが、Ynetによると以下のような反応が出ている。

国連のグテーレス事務総長は、イランに武力行使したアメリカの行為は、非常に危険なエスカレートを意味する。この混乱はまもなく、手に負えないものになっていくと警告した。なんとか外交的にことを鎮めるよう、加盟国によびかけた。

イギリスのスターマー首相がイランに、交渉に戻るよう呼びかけている。

ベネズエラと、キューバが、明確にアメリカを非難する声明を出した。

オーストラリアは、イランの核と弾道ミサイルが世界にとって危険であったことがわかったとし、トランプ大統領が今は平和を実現する時と言っていることに注目する。混乱の中で、外交的な沈静化を希望すると表明した。

www.ynetnews.com/article/sj5oxzsvxg

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。