アメリカで醜い反イスラエルデモ:ニューヨークでIDFに死を!・ワシントンDCで血の中傷演出 2025.11.22

A performer wearing the mask of Prime Minister Benjamin Netanyahu is seen in a video that echoes the antisemitic blood libel at Washington, DC's Union Station on November 20, 2025. (Screen capture/Instagram)

トランプ大統領が、11月20日(木)、ホワイトハウスに元人質を招いていたころ、アメリカ国内では、非常に見にくいと言わざるを得ないほどの反イスラエルデモがニューヨークとワシントンDCで発生していた。

ニューヨーク最大のユダヤ教シナゴーグ前で反シオニストデモ

Anti-Zionist protesters outside a New York City synagogue, November 19, 2025. (Luke Tress/Times of Israel)

11月19日(水)、ニューヨークのマンハッタンにあるパーク・イースト。シナゴーグでは、欧米ユダヤ人のイスラエルへの移住を支援するネフェシュ・べ・ネフェシュが、移住に関するイベントを開催していた。

これに合わせて、このシナゴーグの前で、約200人の反シオニストデモ隊が、ユダヤ人のイスラエルへの移住に反対するデモを行った。

デモ隊が掲げる訴えは、「シオニストはいらない」「入植者を排除せよ」「インティファーダ(イスラエルに反発するパレスチナ人の蜂起)をニューヨークから世界に拡散しよう」「沈黙は選択肢にない」などの他、「IDF(イスラエル軍)に死を!」をまで言っていた。

また、中でイスラエル移住を推進するイベントが行われていることに対して、こんなイベントを開催する前に考え直すようにすることが我々の義務だとして、「ユダヤ人を怖がらせなければならない」と叫び続けた。

www.timesofisrael.com/anti-zionist-protesters-chant-death-to-the-idf-at-new-york-city-synagogue/

デモは、パル・アワダという、親パレスチナで10月7日以降に親ハマスの立場を明確にしているNGOが主導し、「奪われた土地に入植者を住まわせるべきでない。入植者募集イベントに抗議しよう」とよびかけ、3つの団体が参加していた。

デモ隊は、イスラエルに移住する人すべてを入植者と呼んでいるが、入植者は、通常、西岸地区に住む人のことを指す。特にネフェシュ・ベネフェシュから移住する人は、明らかにイスラエルの領土と言える地域に移住している。要するに、デモ隊にとっては、イスラエル全体に住むユダヤ人が入植者だという理解だということである。

このデモには、コロンビア大学から2つのグループが参加していた他、ユダヤ人の左派団体、“Jewish voice for peace”のユダヤ人も参加していた。

一方で、こうしたデモに反対するユダヤ人によるデモも近くで行われた。こちらは少数ではあったが、「パレスチナはくたばれ!」などと叫び、反シオニスト側は、「クソユダヤ人!」「強姦犯」「おまえたちはカルトだ」などと叫んで、一時、怒鳴り合い、押し合いの喧嘩になり、警察が引き離したという。

なお、シナゴーグ前でのデモは少ないが、反イスラエルのデモは、珍しいことではない。ニューヨーク警察によると、2023年10月7日以来、数千件発生しているとのこと。

これについて、次期ニューヨーク市長に選出された、イスラム教徒のゾーラン・マムダニ氏は、シナゴーグで行われていた移住促進のイベントについて、神聖な場所を不適切に使っていたとの見解を述べた。ユダヤ人のイスラエル移住が不適切だと言っているようなものである。

www.timesofisrael.com/after-protest-at-synagogue-mamdani-says-israel-immigration-event-misused-sacred-space/

ワシントンDCで血の中傷演出

11月20日(木)、ワシントンDCの電車のユニオン駅で、1世紀からあるとも言われる、血の中傷(ユダヤ人はキリスト教徒の子供を殺してその血で過越を祝うという誹謗中傷)を彷彿とさせる演出が、反シオニスト活動家らによって行われた。

ネタニヤフ首相を中心に、トランプ大統領、バイデン前大統領、ルビオ国務長官、ブリンケン前国務長官んマスクを被った者たちが、ダビデの星をあしらったテーブルで、赤い肉片などを食べて、血を流すような演出になっている。

テーブルのタイトルは、「イスラエルのFriends Giving(友たちの贈り物)ディナー」とされ、肉片は、“ガザの子供たちの手足”“盗まれた臓器”“違法に切り取られた皮膚”、赤い飲み物は、“ガザからの血”とされていた。

www.timesofisrael.com/anti-zionist-activists-stage-blood-libel-display-at-dc-train-station/

石のひとりごと

反ユダヤ、反イスラエル主義が、だんだん遠慮も恐れもなく、グロテスクになり始めている。時代が進んでいることを感じる。

世界にいるディアスポラのユダヤ人たちが、早くイスラエルに移住する決心ができるようにと思う。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。