アメリカがペルシャ湾に空母配備へ 2019.5.8

5日、アメリカのボルトン国家安全保障担当大統領補佐官が、イランに関して、懸念される動きがあるとして、万が一に備え、ペルシャ湾に、空母アブラハム・リンカーンを配備すると発表した。

8日は、トランプ大統領が、イランと超大国とが結んだ核開発合意から離脱してから1年を記念する日である。これに加えて、2日、アメリカは、イランと原油の取引をしている国々に対し、発動していていた原油の全面禁輸への猶予期間を延長しなかった。

禁輸の猶予を受けていた国々は、日本、中国、韓国、トルコ、インドの5カ国である。産経新聞によると、日本は原油全面禁輸に備え、すでにイランとの取引は停止している。この5カ国では、トルコと中国がアメリカの制裁に反発している。

原油輸出は、イランの国家収入の3割を占めるため、この全面禁輸政策は、イランにとって非常に大きな経済的打撃。イランは、禁輸になっても輸出を継続する方法はあると言っている他、ペルシャ湾への狭い唯一の通路であるホルムズ海峡の閉鎖もありうると脅迫している。

ロウハニ大統領は8日、なんらかの発表を行う予定。

r.nikkei.com/article/DGXMZO44394960R00C19A5EA4000?s=0

<アメリカと中国の関係も緊張>

アメリカは、空母を新たにペルシャ湾に派遣すると同時に、北極圏での軍事訓練を行っている。これは、経済圏拡大とともに、軍事力を拡大する中国を牽制するためである。

中国は、イランの最大原油輸出国である。中国は、アメリカの原油禁輸政策に従わず、引き続きイランからの輸入を継続することを匂わせている。

しかし、これと並行して、アメリカは、中国製品への関税25%を上乗せすると発表。このため、中国はアメリカに譲歩せざるをえないのではないかとみられている。

r.nikkei.com/article/DGXMZO44394960R00C19A5EA4000?s=3

<イスラエルとの関係>

イラン経済が危機的な状況になると、その配下で存在しているガザのイスラム聖戦や、南レバノンのヒズボラへの資金が低下するので、うまくいけば、治安の改善になる。

しかし、追い詰められたイランが、世界の目をそらす目的で、逆にイスラエルを攻撃してくる可能性もある。

トランプ大統領が、親イスラエルであることは、イスラエルにとっても感謝なことではあるが、あまりにも風雲児で国際社会に敵を多く作っていることから、アメリカのユダヤ人は、”親イスラエルすぎる”と考えている人が、42%にのぼっていることがわかった。(ピュー・リサーチセンター調査)

一方、福音派クリスチャンでは、72%が、親イスラエル政策を進めるトランプ大統領を支持すると回答した。アメリカでは、ユダヤ人の多くは民主党を支持し、福音派は、共和党を支持する傾向にあるようである。

www.timesofisrael.com/us-jews-more-likely-than-christians-to-think-trump-favors-israel-too-much/

<石のひとりごと;なぜ福音派クリスチャンはイスラエルとトランプ大統領を支持する傾向にあるのか>

トランプ大統領は、実に興味深い人物である。ロシアに屈せず、イランに対抗し、中国の進出にも正面から牽制している。表面をとりつくろうことに興味がなく、実質のみを見て動いている様子は、まさに、「裸の王様」で本当のことを指摘する子供のようでもある。

また、トランプ大統領本人が意識していないことは間違いないが、どうにも聖書に書かれている終末の世界の様相に、近づける役割を果たしているようでもある。キリスト教の中でも特に福音派が、トランプ大統領を支持、もしくは注目するのは、福音派が聖書を重んじているためである。

聖書は単なる宗教の書物ではない。実際に世界で起こってきたこと、今、起こっていること、また起こるであろうことが書かれている書物である。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。