アメリカがシリアへ武器支援開始へ 2013.6.15

13日、アメリカはシリアのアサド政権が、アレッポで化学兵器を使用したとの正式な見解を発表。今後反政府勢力の穏健派グループに軽度の武器を支援すると発表した。武器の中には対戦車砲も含まれるみこみ。

この発表が会った後、イギリスのキャメロン首相は、BBCのインタビューで「このまま解決不能だからといって放っておけば、もっと事態は悪化する。アメリカの見解に同意する。」とし、協力していく方針を語った。

アメリカの発表が、17日からアイルランドで始まるG8サミットの直前であったことから、サミットにおいて、シリア情勢についても最重要事項の一つとして話し合われることになる。

この直後、シリア軍の将校ら70人以上が、軍を脱退、トルコへ亡命したとの報告が入っている。

なお、国連の報告によると、シリア内戦の死者数は確認できただけで92000人。このうち150人が化学兵器によるもの。未確認を入れると死者数は13万人と報告した。

<ロシアの反応>

こうしたアメリカや西側の動きを受けて、アサド政権とロシアは、「アメリカの(化学兵器に関する)見解は、軍事介入の口実をつくっているだけで、証拠がない。でっちあげだ。」と反発している。

<今後、どんなシナリオがあるのか?>

具体的な計画は明らかにはされていないが、アメリカは現在ヨルダンにF16戦闘機とパトリオット迎撃ミサイルを配備しつつあり、ヨルダンとシリアの国境に飛行禁止区域を設置する可能性がある。

*飛行禁止区域・・・交戦国を非武装にすることを目的として、戦闘機、ミサイルなどが指定した空域に入ることを禁止する措置。2011年のリビアの内戦においても、この方策が実施された。

<イスラエルとの関連は?>

イスラエルにとっての重要事項は、主に、アサド政権が崩壊した時である。この瞬間、化学兵器などの大量破壊兵器を安全に保護しなければ、ヒズボラか、アルカイダなどサラフィスト(スンニ派イスラム原理主義聖戦主義者)の手に渡ることになる。

イスラエルのヤアロン国防相は、アメリカのヘーゲル国防相を訪問。”その時”について話し合った。シナリオとしてはアサド大統領が死亡するか、他国へ逃亡、または国内に雲隠れした場合である。

そのときは、両国が協力し、今わかっている大量破壊兵器の武器庫18カ所を襲撃し、武器の無力化を行う。同時に他にも武器庫がないか捜索する、などである。

しかしながら、ヤアロン国防相は、アサド政権がそう簡単に打倒されるとは思えず、まだ時間がかかると考えているとアメリカのTIME誌に語っている。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。

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