アメリカがガザの第二段階開始発表・ガザ行政委員会(NCAG)発足へ:現地ラファでは衝突で6人死亡 2026.1.15

US Special Envoy Steve Witkoff attends a meeting with Ukrainian officials, November 30, 2025, in Hallandale Beach, Florida. (AP/Terry Renna)

アメリカがガザの第二段階開始を宣言

アメリカのウィトコフ特使は1月14日(水)、トランプ大統領が提示したガザ停戦への20項目(国連安保理の承認)に基づき、第二段階を開始すると発表した。

Ali Shaath (Courtesy)

第二段階では、パレスチナ人文民15人による管理体制、ガザ地区行政委員会(NCAG)の立ち上げが行われる。

15人は、ガザ在住者だけでなく、その他の地域のパレスチナ人も含まれるとのこと。

委員長は、パレスチナ自治政府の元運輸副大臣のアリ・シャース氏が務める。(写真左)

エジプト、カタール、トルコ、またパレスチナ自治政府も、この方針を確認、承認したと発表している。なお、この発表に先立ち、エジプト、カイロで行われた会合には、ハマスの代表団も参加していたとのことである。

この委員会は、当初は、エジプトを拠点として準備が進められるとのことで、イスラエルがラファの検問所を解放することになる見通しが出ている。

人質返還は?ハマスの武装解除は?

イスラエルは、第二段階に進む条件として、人質が全員返還されることを挙げている。まだラン・グヴィル軍曹の遺体はガザに残されている。捜索は行われているようだが、まだ見つかっていない。

これについて、ウィトコフ特使は、ハマスは約束を遵守するべきであり、しない場合は、深刻な結果を招くと言っている。

しかし、今のままで第二段階に進むことを、ラン軍曹の家族は強く反対している。このまま忘れ去られる可能性が大きいからである。

ネタニヤフ首相は、ウィトコフ特使の発表の後、ラン軍曹の母親や家族と面会し、ランさんの遺体返還は国最優先事項だと伝えた。

またイスラエルにとって、ハマスの武装解除は絶対条件である。ウィトコフ特使は、ガザ地区の完全非武装化、特に関係職員の武装解除が行われるとしている。

しかし武装解除について、どのように、どの程度で行われるかは明確でない。この件を進めているのが、アメリカの他にエジプト、カタール、トルコと、明らかにハマスの支援国である。イスラエルが満足する解決を出してくるとは考えにくい。

今なぜ、ウィトコフ特使がこの発表をしたのかについて、来週、ダボスで行われる世界経済フォーラムに間に合わせたかったのではないかとの見方がある。

www.timesofisrael.com/us-launches-gaza-plans-2nd-phase-as-palestinian-technocratic-government-unveiled/

ラファではハマスとの衝突で6人死亡

アメリカは第二段階と言っているが、現地ガザでは、武装勢力とイスラエルの衝突が続いている。

Israeli soldiers climb on the rubble next to the entrance of a tunnel in Rafah, Gaza Strip, December 8, 2025. (AP Photo/Sam Mednick)

イスラエル軍によると、上記第二段階に関する発表がなされたと同時期の1月13日(火)に、ラファ西部で、銃撃と空爆も伴う衝突が発生し、イスラエル軍を攻撃してきた武装組織6人が死亡した。

ガザでは、昨年10月に停戦になってからも、イエローライン周辺での両者の衝突は尽きず、これまでにハマスなど戦闘員400人以上が死亡している。

イエローラインとは、ガザ内部でイスラエル軍が止まる領域を示すラインで、これを超えてイスラエル軍側に入ってくると、イスラエル軍は攻撃することになる。一方、イスラエル軍でも3人が戦死している。

www.timesofisrael.com/idf-says-6-gunmen-killed-tuesday-in-rafah-firefight-after-serious-violation-of-truce/

石のひとりごと

アメリカはいよいよ、ゴリ押しで第二段階を宣言し、パレスチナ人による文民管理体制も具体的にしてきた。

しかし、イスラエルはこれらにまだ賛同しておらず、取り残された感じである。これからどうなっていくのか、先は見えにくい。

特にイスラエルが今後どう反応していくのか、注目されるところである。ランさん遺体の帰国も忘れてはならない祈りの課題である。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。