アメリカがイスラエル抜きでハマスと米人人質解放直接交渉:イスラエル不満 2025.3.7

(Photo: REUTERS/Mahmoud Al-Basos, Jim WATSON / AFP, ANDREW CABALLERO-REYNOLDS / AFP)

イスラエルとハマスの交渉が頓挫する中、実はアメリカは、水面化で、イスラエル人だがアメリカ国籍でもある人質の解放について、イスラエルを通さず、ハマスと直接交渉していたことがわかった。

アメリカは、ハマスを国際テロ組織として認定しており、直接交渉はしないことになっている。ハマスと直接交渉していたとすると、長年の方針を破ったことになる。

U.S. presidential envoy for hostage affairs Adam Boehler March 6, 2025, in Washington. (AP Photo/Evan Vucci)

この交渉を担当していたのは、大統領から派遣された人質問題の特使、アダム・ボーフラー氏。交渉はカタールで行われていた。

交渉の焦点は、人質の中で、アメリカ系イスラエル人のエダン・アレクサンダーさんと、同じくアメリカ系イスラエル人で遺体になっている4人の計5人の解放である。

最終的に、交渉では、アメリカ系5人を含む人質10人の解放と、その見返りとして、停戦を60日延長するというものであった。

ネタニヤフ首相はこの動きを知らされていなかった。政府は不満を表明し、これを阻止するべく、この情報を3月5日(水)、メディアにリークしたとみられている。このためか、この交渉も今は前に進まなくなっている。

トランプ大統領は、「我々はイスラエル人のために働いているのではないか」と反論した。しかし、ウィトコフ特使は、アメリカは、アメリカ人を優先していたことを認めると言っている。

www.timesofisrael.com/us-said-to-hold-positive-talks-with-hamas-and-mediators-on-phase-2-of-ceasefire/?utm_campaign=most_popular&utm_source=website&utm_medium=article_end&utm_content=1

ウイトコフ特使は、「我々がハマスと交渉する用意がある。しかし、もしその交渉がうまくいかないなら、選択肢は、ハマスにとってよいものとはいえない」と語っている。

www.timesofisrael.com/trump-defends-direct-us-hamas-talks-as-israel-seethes-attempts-to-sabotage-them/

*エダン・アレキサンダーさん(21)
エダンさんは、テルアビブで生まれたが、アメリカのニュージャージー州で育った。国籍はイスラエルとアメリカ両方である。

エダンさんは、2022年、高校を卒業後、イスラエルに戻り、ローン・ソルジャー(単独兵士)として従軍していた。

エデンさんは、昨年11月、ハマスのプロパガンダ映像に、痩せた様子で写っていた。今も生きていると信じられている。

www.timesofisrael.com/the-next-24-these-are-the-remaining-hostages-presumed-alive-in-gaza/

石のひとりごと

ウクライナとロシアのケースも、アメリカは、ウクライナ抜きで交渉しようとした。イスラエルも同様だった。さすがのイスラエルも、これは受け入れられなかったようである。

実際のところ、アメリカにまかせてしまうのがいいのか??私たちにはわからないところである。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。