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アサド大統領とその家族はロシアで生存・保護
アサド大統領は、ダマスカスを飛行機で脱出したが、途中でレーダーからその姿が消えていたため、死亡している可能性があるとされていた。
しかし、ダマスカスで、アル・ジャラニたちが、勝利宣言をした、8日(日)、ロシアのクレムリンが、アサド大統領とその家族が、モスクワに到着して生きており、人道的亡命者として、ロシアに受け入れられたと伝えた。
ロシア外務省は、アサド大統領が辞任して、平和的な権力の移譲を支持すると言っていると表明している。
これまでアサド政権を支えてきたのは、ロシアだった。それが、わずか8日で打倒されたのである。ロシアは、威厳を失ったといえる。
またロシアは、地中海に面する空軍基地と、海軍基地をシリア領内に持っている。アサド政権打倒で、ロシアはこの両基地へのアクセスを失い、地中海へのアクセスがなくなった形である。
このため、ロシアは、アサド大統領を保護しながらも、反政府勢力とコンタクトもとっているもようである。これまでのところ、基地も基地にいるロシア軍関係者も無事とのこと。
アサド政権の打倒は、中東と世界の勢力図に大きな影響を及ぼす可能性がある。ロシアが、その影響力に影を見せ、イランも、アサド政権を失うことで、いよいよ悪の枢軸と呼ばれるシステムの崩壊かとも言われているからである。
イランでは、現政権に反発する勢力は、小さくないので、政権が弱っている今、イランでもシリアのような反政府勢力によるクーデターが発生する可能性もある。しかし、イランが何を考えているかは今の所、情報が少なく、楽観や期待は禁物である。
www.jpost.com/middle-east/article-832456
www.ynetnews.com/article/bjccrpqeye#autoplay
www.bbc.com/news/videos/cdd690jp6rmo
ロシア、トルコ、イランがドーハでシリア対策を協議:今回はトルコが台頭か
12月7日(土)、カタールの首都ドーハでは、ロシア、トルコ、イランの外相が、今後のシリアについて、協議した。3国の外相は、シリアの敵対行為を直ちに終わらせなければならないという点で合意したが、大した結果は出ていないようである。
www.timesofisrael.com/liveblog_entry/russian-iranian-and-turkish-fms-call-for-end-to-syria-violence/
APによると、ロシアとイランが、アサド大統領を支援して、反政府勢力を追放する案を出したのに対し、トルコは、アサド大統領が、国民と和解することと、反政府勢力を支持する意見を出したとのこと。
現状からすると、トルコの影響力が大きくなっていると考えられる。トルコは、反政府勢力の中で、シリア北部で勢力がある自由シリア軍(HTSとは別の組織)に影響力を持っている。
また、トルコは、シリア難民300万人を受け入れていたため、トルコ国内では、この難民たちが、ようやく故郷に帰れると、大祝いしているところである。反政府勢力がシリアを制圧したことは、トルコにとっては、都合が良い点が多い。
憶測的な分析ではあるが、今回のシリアでの反政府勢力の動きにトルコが関わっていたとの味方もあるが、トルコはこれを否定している。
www.timesofisrael.com/where-turkey-stands-after-assad-regime-falls-to-syrian-opposition/
なお、ロシア、イラン、トルコの3国は、2017年にもシリアの内戦についての対策を協議していた。この時は、ロシアが影響力を拡大することで、シリアを安定させる方向で合意していたのであった。
www.nytimes.com/2017/11/22/world/europe/russia-turkey-iran-syria-war-peace-talks.html
この3国はエゼキエル書によると、将来、結託してイスラエルに攻めてくる国々であると言われている国々である。
石のひとりごと
個人的には、アサド大統領が、家族を連れて亡命していたことが、なんとも気になった。どんなに残酷な独裁者でも、家族はやはり家族なのである。やっぱり人間なのである。
またロシアが、アサド大統領を見捨てなかったのはなぜだろうか。プーチン大統領が、義理人情で動くはずはないので、やはりまだ復帰させる可能性も捨てていないのかとも思う。