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国際司法裁判所(ICJ)が東エルサレムと西岸地区”支配”は国際法違反と判決
19日、国際司法裁判所(ICJ)が、1967年以降、56年間、イスラエルが東エルサレムと西岸地区を事実上支配している判断し、それが国際法違反に値する。
したがって、できるだけ早くその地域での支配をを終わらせる義務があるとの判決を発表した。
ICJは、イスラエルは、1967年の六日戦争の後、国際社会の合意がないまま、東西エルサレムを統合し、1980年に正式に併合したとしている。
*緑部分が東エルサレム(四角で囲った部分は神殿の丘はある旧市街)
西岸地区でも、ユダヤ人の入植活動を続けており、事実上併合した形になっていると言っている。さらには、10月7日以降、この支配の傾向は高まっているとまで表明していた。
*西岸地区(A、B地区がパレスチナ人地域で、赤い点がユダヤ人入植地)へっこんだ部分がエルサレムで、西東で分断される形
国際司法裁判所に強制力はないが、正式な国際法に照らして、ハマスの悪行には触れられていない中で、イスラエルが犯罪者だとレッテルを貼られた形である。
ハマスやイスラエルを滅ぼそうとする勢力に正当性を与えるのと同じ行為といえる。
イスラエル側からは、ブチギレるような反発のコメントが相次いでいる。
石のひとりごとに過ぎないが、もしかしたら、背景にアメリカ(バイデン政権)が動いているのではないかとも思わされたりする。
アメリカ(バイデン政権)は、今、ガザ戦争の今後として、西岸地区とガザ地区をパレスチナ人の国として、パレスチナ自治政府にその管理の大きな部分を任せようとしている。
週明けにネタニヤフ首相が、ワシントンを訪問し、この件も話し合うことになっている。
しかし、イスラエル国会は、その直前の昨日、圧倒的多数で、パレスチナの国をヨルダン側西側(東エルサレムと西岸地区)に設立することに反対する。ネタニヤフ首相は、バイデン政権に屈するべきでないとの、明確な意思表示を行った。
アメリカで何を考えているかは別として、現地において、西岸地区の多くのパレスチナ人は、ガザのハマスを支持しているとの調査結果も出ている。暴力と憎しみの連鎖は、ガザに優っているほどに沸騰している。
今アメリカの考えを受け入れ、ガザと西岸地区にパレスチナの国を立てることに合意し、ハマスとの交渉に応じて、イスラエルがガザから撤退することは、平穏どころか、ハマス、ヒズボラ、その背後にいるイランも出てくることにもなりかねない。
イスラエルとパレスチナ人の問題を超えて、中東戦争に発展することになる可能性が高い。
実際、そのパターンは、ガザでもうテスト済みである。2005年にイスラエルが完全撤退したら、わずか2年後に、ハマスがガザを支配し、テロが増え、戦争は拡大をたどってきたのである。ネタニヤフ首相は、そうした現状を、アメリカの議会で警告するとみられている。
そんな時に、東エルサレムと西岸地区をイスラエルが支配することは国際法違法であるとレッテルを貼られたのである。イスラエルがパレスチナ国家に反対することが、違法であると正式に言われた形である。
イスラエルの反応
ネタニヤフ首相はじめ、閣僚や入植地関係者からも、判決を全面的に非難する声明が出された。歴史的、考古学的にみても、西岸地区、また東エルサレムは特に、イスラエルと無関係ではない土地であると主張している。
www.jpost.com/opinion/article-811065
これは右派、宗教シオニストで構成されている現政権らしい声といえるが、野党で左派系であるガンツ氏すら、これは、外部からの干渉にあたると非難した。
「我々は、外からイスラエルを滅ぼそうとする者たちに対し、唯一無二のユダヤ人国家を守り切る」と語っている。
一方で左派議員の中には、極右たちの極端な行為(パレスチナ人への暴力行為)、またパレスチナ人との交渉をしてこなかった右派政権が招いた結果だと非難する声明を出した人もいた。
パレスチナ自治政府の反応
パレスチナ自治政府のアッバス議長は、ICJの判決を歓迎。「歴史的な決定だ。正義の勝利だ。」と述べ、イスラエルに判決の履行を求めるとした。
石のひとりごと
なんと、このタイミングで、とんでもない判決がでたものである。
イスラエルは、10月7日にそれこそ国際法大違反の残虐行為の犠牲者である。この判決が出た日には、イエメンから発射されたドローンで市民一人が死んでいる。
それらは非難されず、イスラエルだけが、国際法違反と、大々的に宣言されたわけである。
無論、この判決に強制力はないし、今後アメリカにどんな大統領が出てくるかによっては、まだ事態は変動する可能性はある。
しかし、場合によっては、イスラエルがいよいよ世界から孤立し、世界から攻め込まれる事態も絵空事ではなくなってきた。聖書による終末の舞台設定はまた進んだかもしれない。