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ガラント防衛相解任なるか
イスラエルは、今間違いなく、国家的な存在危機の中にある。にもかかわらず、ネタニヤフ首相は、ギャラント防衛相を退任させ、野党からギドン・サル氏を任命する流れになっていると報じられている。
まだ決定ではなく、サル氏が、これを受け入れない場合は、今の外相であるイスラエル・カッツ氏を防衛相とし、サル氏を外相にするとの流れである。
ネタニヤフ首相が、ガラント防衛相を解任しようとするのは、これで2回目である。前回は、昨年3月、ガラント防衛相が、当時進んでいた司法制度改革について、ネタニヤフ首相に堂々と、反対を突きつけたからであった。
この改革は、政府が司法の上を行く可能性が出てくるという問題の改革で、国民の間からも、大規模な反対デモが発生していた件である。ガラント防衛相の解任については、国民からの激しい反対を受け、ネタニヤフ首相はこれを撤回したのであった。
こうした経過があったため、その後もネタニヤフ首相とガラント防衛相の関係には、問題があると言われていた。
ガラント防衛相は、元IDF参謀総長仲間として、今は最大野党を率いるガンツ氏たちとともに、ハマスとの停戦と交渉を推す立場にあった。
一方で、片足はネタニヤフ政権に残しているという立場を続け、その後、ガンツ氏が、戦時内閣を離脱した時も、ガラント防衛相は、防衛相として残留したのであった。
ヒズボラへの大規模な戦闘開始についても、ネタニヤフ首相と意見が違うとの報道もある。しかし、今ネタニヤフ首相が、2回目のガラント防衛相解任に動き始めたのは、そのことが理由ではなく、別の理由であるとみられている。
交代予定ギドン・サル氏とは
ガラント防衛相を解任する理由は、戦争の背後で問題になっている、ユダヤ教超正統派の若者たちの徴兵義務問題である。この1年、世俗派の若者が徴兵され、多くが戦死している。今まで以上に兵力も必要になっている。
しかし、ユダヤ教超正統派だけは、今もまだ、同年齢でも兵役が免除のままなのである。そのことに、国民の間で不公平感が、これまで以上に広がっているのである。*正統派の中には志願して軍に入隊する者もいる。
そこで、最高裁は審議の結果、今年6月、超正統派の中のイシバ(ユダヤ教神学校)学生については、一部兵役義務があるとする歴史的判決を下した。
政府はこれを覆す権利を有するため、閣議でそれが審議されている。これについて、ガラント防衛相は、最高裁の立場を支持する立場を表明している。
mtolive.net/最高裁が歴史的判決:ユダヤ教超正統派神学生も/
しかし、ネタニヤフ政権を支えるユダヤ教政党は、これに強力に反対しており、これを却下しないなら、政権から離脱すると表明した。もしそうなれば、今のネタニヤフ政権は崩壊する。
ネタニヤフ首相にとって、ガラント防衛相は、まさに目の上のたんこぶである。ガラント防衛相を今この時点で解任するのは、この件に反対しない人物を閣僚に入れておく必要があるからである。
しかし、これは再び国民の大反対を受ける可能性が高い。その理由として、ガラント防衛相の交代としてあがっている政治家が、ギドン・サル氏であることも考えられる。
サル氏は、かつてネタニヤフ首相に反発してリクード党を離脱した人物。国民に人気のある政治家だったが、リクードを出て新党を結成して以来、ここしばらく政界では、名前もほぼ聞かなくなっていた。
ネタニヤフ首相は、サル氏に防衛相と、同氏のニューホープ党から4人に連立政権でのポジションをオファーしているとのこと。
問題は、現在のIDFハレビ参謀総長の交代もネタニヤフ首相とサル氏で決定するといった話にまでなっているという点。さらには、サル氏を釣り上げるためか、司法改革制度について拒否権を与えるとの情報もある。
そのサル氏が、再びネタニヤフ首相の傘下に入ることに、裏切りとか、幻滅を感じる国民も少なくなさそうである。すでに、16日、テルアビブのサル氏の自宅前では、ネタニヤフ首相のこのオファーを断るよう、訴えるデモも発生している。
石のひとりごと
四方八方から敵に囲まれる時に、内部では、国民と政府が争うだけでなく、政府と軍、政府内部でも分裂する様相を見せている。これが敵を笑わせることになると危機感を表明する記事もある。イスラエルは聖書時代とあまり変わらない様相であるといえる。
聖書によると、イスラエルは、そのツケを払うことになるだろう。しかし、最終的には主が介入することになる。決してあなどれない国である。