シリア情勢悪化で難民が押し寄せて、ついにキレたかのようなトルコ。先週土曜から、シリア北部にいるクルド人勢力を攻撃し始めた。
それから1週間もたたない17日、主都アンカラで、車両による自爆テロが発生し、少なくとも28人のトルコ軍関係者が死亡。61人が負傷した。犯行声明は出ていないが、トルコは、シリアのクルド人勢力による自爆テロとみており、必ず報復すると言っている。
トルコは、昨年からアメリカとともに、シリアでのISIS空爆に参加している。そのせいか、昨年から爆破テロが続いている。昨年7月クルド人地区スルクで自爆テロが発生し、30人が死亡。
10月には、アンカラで、クルド人平和ラリーでダブル自爆テロがあり、100人以上が死亡。今年に1月にはイスタンブールで自爆テロが発生し、ドイツ人観光客を含む10人が死亡している。
<トルコは苦難への道を歩み始めている?>
トルコがこうした困難な道を歩み始めたのは、2010年に発生したナビ・マルマラ事件(トルコを出発しガザへ向っていた人道支援船とイスラエル海軍との衝突で、トルコ人活動家9人が死亡)を皮切りに、ガザ地区のハマスを支持し、イスラエルとの関係を急速に悪化させたころからである。
中東で唯一の民主国家として、イスラエルとも友好的な歩みをしていた時代のトルコは、平和で経済も好調だった。しかし、ナビ・マルマラ事件ぐらいから、トルコのエルドアン大統領は、イスラム(スンニ派)に傾くようになり、かつての大帝国オスマン・トルコをめざすとも表明。
ガザのハマスを訪問するなど、反イスラエル的な立場を繰り返し明らかするようになった。以来、イスラエルとは、ビジネスは不変とも聞くが、政治外交上の関係は、悪化したままとなっている。その後、何度か関係回復の動きもあるが、まだ具体的にはなっていない。
トルコでは,2011年、2013年と大きな地震が発生。また、2013年には、エルドアン大統領が、イスラムに傾き、国を独裁的な手法でイスラム化させていくのを見て、危機感を持った市民たちが、若い世代を中心に激しい反政府デモも発生している。
しかし、当時は、やり手のエルドアン大統領を支持するトルコ人もまだ少なくなく、デモは政府に押さえられた形で収まった。以後、トルコはとんとんと、混乱に巻き込まれて行く形で今に至っている。