てんこもり独立記念日 2014.5.7

6日、独立記念日は、イベントのてんこもり。いろいろありすぎて、二兎を追うもの一兎をも得ずになる。戦没者記念から数えると公式の式典は少なくとも6つ。ペレス大統領とネタニヤフ首相はほぼすべての式典でスピーチがある。

<国家祝賀式典>

国中が悲しんだ戦没者記念日が日没で終わると、ヘルツェルの丘では、公式の国家祝賀式典が行われた。ペレス大統領や、ネタニヤフ首相も参加する式典で、独立記念の点火式。

そのあとは、ちょうどオリンピックの開会式のような式典が行われた。この式典には招かれた人しか行けないが、テレビで全国に生中継される。

<ストリート・ディスコ>

エルサレムの町は、午後9時からストリート・パーティ。小さな子供をつれた若い家族と、ティーンエイジャーとみられる中学から高校生ぐらいの子供たちが、いったいどこからわいてくるのかと思うほど続々と町に出てきて、騒ぎがはじまった。

エルサレムで、最も中心となるベンヤフダ通りは、ティーンエイジャー専用のようになり、中高生(とはいってもへそだしお化粧で大人顔負け)でいっぱいだった。地面がゆれるかと思うほどの騒音でビートのきいた曲が流されて、ストリート・ディスコになっていた。

子供たち、特に女の子たちが甲高い声でいっせいに叫んで笑って踊っているので、これ以上の騒音はないというぐらいにやかましい。また、独立記念日には、子供たちが、白い泡が出てくるスプレーをかけあうのが風物詩。建国記念ではめをはずして喜ぶのはいいが、どの子も相当ハイパーでアニマル状態になっている。この日ばかりは、夜中遅くまで親も外出を許しているようである。

ベンヤフダは、ティーンだが、別の通りは、ヤングアダルト。バーが外にも席を用意して、男女6-7人が一緒に座って、水タバコとビール。
独立記念公園近くではステージが設営され、コンサート。そのちょっと先の市役所前広場では、ちょっとおばさんたちがフォークダンス。いわば市民広場の盆踊り大会。

ヤッフォ通りは群衆で身動きとれないほどにぎっしりなので、今年は、路面電車の前をパトカーが先導し、「どきなさい」とかいいながら、人をかき分けながら運行していた。電車にはしっかり泡が吹きかけられている。

花火は数時間おきに打ち上げられた。この日は朝までバスが運行するのだが、夜1時半に乗って、満員で入りきれないほどだった。イスラエルにはほんとうに次世代の若い人たちがたくさんいる。日本の高齢化を実感させられる光景だった。

<功労兵士への表彰>

翌朝、大統領官邸では、過去1年で活躍した兵士たちにペレス大統領とガンツ参謀総長、ネタニヤフ首相も同席して表彰状が授与された。

この式典では、なぜか、大統領、首相、参謀総長、国防相が、テレビ生中継の中で、歌を披露することになっている。それぞれが歌いたい歌を選んで、それぞれが、ふさわしい歌手とデュエットするのである。

日本でいえば、(天皇)、安倍首相、自衛隊幕僚長、防衛大臣が、さだまさしとかと一緒に歌うようなものである。余談になるが、ガンツ参謀総長は、”民のだれよりも、肩から上だけ高かった(サウル)”そのもので、見た目に非常に魅力的な人物。

その後、イスラエル空軍が、全国各都市上空で、低空飛行して戦闘機を披露。テルアビブビーチでは約30分のアクロバット飛行が披露された。また戦闘機を含む航空機を並べた空軍基地が市民に公開され、家族連れなど市民7万人が訪れた。

<以外に簡単!?国際聖書クイズ大会> https://www.youtube.com/watch?v=KiGXotYF3KI#t=7569 

海外にいるユダヤ人の若者とイスラエルをつなぐ政府のプロジェクトの一つとして、毎年行われている国際聖書クイズ大会。33カ国から75人のユダヤ人が参加した。ここにもネタニヤフ首相は登場。審査員は国会議長などで、上位6人のところでは、首相自らが出題した。

最終決戦に残ったのはイスラエル人のテヒラ・バルナソンさんとカナダからのエイタン・アモスさん(18)で、優勝は、エイタンさんに決まった。カナダのイシバに在学中だが、イスラエルのイシバで学ぶ事が決まっている。ユダヤ教では、聖書をあまり学ばないと言われがちだが、そうでもないようである。

ちなみに、決勝戦でテヒラさんが1問だけ間違って負けた問題は以下の通り。

”死んだ兄弟の名を絶やさないように、その財産を引き継ぐ”と言ったのは誰ですか?”テヒラさんはモーセと答えたが、正解はボアズ(ルツ4:5)

<国民バーベキューデー>

独立記念日といえばバーベキュー。あいにく曇り空で、空は灰色だったが、お昼ぐらいから、バーベキューする家族連れが、公園などへ続々。テルアビブのビーチも満員。夕方までバーベキューのにおいがただよっていた。

この他、イスラエル博物館なども無料開放で、イスラエルダンス会場や、様々な子供向けプログラムを提供した。

<石のひとりごと>

かなりてんこもりの2日間だが、こうした独立記念日を毎年繰り替えすことで、イスラエルは、次世代とイスラエルの外にいるユダヤ人にも同胞意識と愛国心を維持促進できているように思う。だいたい子供の数が驚くほど多い。イスラエルの将来は安泰の感じだ。

子供たちがあふれかえっているイスラエルにいると、日本の高齢化がいかに深刻かを実感する。また、私自身もだが、日本人は、イスラエル人ほどに国旗に愛着がないように思う。日の丸に戦争と右派のイメージが伴う上、特にクリスチャンは天皇崇拝への課題から、国旗・国歌にも課題がある。

国旗にすら愛着をもちにくい状態で、国の誇りや大事さというものを次世代の子供たちにどう伝えて行ったらよいのか…と思っていたら、BBCで最近、日本の宣伝が流れているのに気がついた。

タイで病院設立を支援する看護師、アフリカで井戸堀りを指導する技術者、最後には,安倍首相の写真が出てくるビデオが流されている。最近外国訪問の多い安倍首相、各地で支援金を約束していると聞くが、世界に貢献する日の丸、日本のイメージづくりだろうか。。。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。

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