「ギデオンの戦車作戦2」承認で予備役兵6万人招集開始:人質交渉議論の中 2025.8.20

IDF troops operate in the Gaza Strip, in an image published on August 18, 2025. (Israel Defense Forces)

ギデオンの戦車作戦2:予備役6万人を新たに招集開始

 August 14, 2025. (Shira Keinan/Defense Ministry)

ネタニヤフ首相が、ガザを制圧すると発表。10月7日に、ガザ市への攻撃を開始するとして、100万人ともみられる避難民たちには、それまでに南部へ避難するよう呼びかけている。

昨日、国防省とイスラエル軍のザミール参謀総長は、この作戦を「ギデオンの戦車2」として承認したと発表した。

これを受けて、今すでに従軍している予備役兵に加えて、8月20日(水)から、新たに、6万人の徴兵が開始された。

www.timesofisrael.com/liveblog_entry/katz-approves-military-plans-for-gaza-city-offensive/

www.timesofisrael.com/60k-reservists-set-to-receive-call-up-orders-in-coming-days-ahead-of-gaza-city-takeover/

全員が一度に招集されるのではなく、段階を追って順次招集される。またただちに最前線に派遣されるのではなく、後部戦線の隊員との交代などから始まっていくとのこと。

しかし、昨日、ハマスは、エジプトとカタールによる仲介で、60日間の停戦と生存する人質20人のうち10人にと遺体18人を解放するという交渉に合意したとの発表があった。

イスラエルは、基本的に人質は全員一度に解放すべきとしており、上記のように、ガザへの攻撃準備を行なっている。しかし、ハマスとの交渉を否定したわけではなく、現在、ハマスの出している条件を詳しく検証しているとのこと。

www.timesofisrael.com/israel-said-reviewing-truce-deal-okayed-by-hamas-despite-pms-seeming-dismissal-of-offer/

人質家族も、次回解放があるなら、全員一度にと要求している。しかし、たとえ半分でも奪回するチャンスがあるなら、それを無にすることは、倫理上の問題になるのではないかとの論議も出ている。

しかし、その場合は、後に残る10人の解放は、少なくとも60日は遠ざかることになる。誰が先で誰が後なのか、これもまた非常に繊細な問題である。

万が一、この交渉にイスラエルが合意する場合は、今準備中のガザ攻撃作戦は中止、または延期になるとみられる。

www.timesofisrael.com/60k-reservists-set-to-receive-call-up-orders-in-coming-days-ahead-of-gaza-city-takeover/

www.israelnationalnews.com/news/413558

ガザ人質6人が殺されてから1年目:エルサレムの十字架の谷で集会

8月19日(火)、ガザのラファでの戦闘の中、その地下トンネルの中で人質6人が殺害されてから1年を覚える集会が行われた。

ハーシュ・ゴールドバーグ=ポリン、カーメル・ガット、エデン・イェルシャルミ、アルモグ・サルシ、オル・ダニノ、アレックス・ルバノフの6人である。

家族たちは、失われた家族がまだいないことが信じられないと語っている。また、まだガザに残っている人質50人のために、戦い続けなければならないとも語っていた。

www.timesofisrael.com/families-of-six-hamas-hostages-murdered-together-honor-their-memories-one-year-on/

石のひとりごと

この6人の遺体が保護されてから、もう1年になる。しかし、ガザには、まだ人質が50人とりのこされたままだ。

加えて、イスラエルはまだ6万人もの予備役兵を徴兵して、戦争に向かおうとしている。1年経った今もまだ、息子たちを戦場に送り出さなければならないのである。

こんなことはだれも思いもしなかったこと、だれひとり望んでいなかったことである。主よ。もう十分です。というユダヤ人たちの声が聞こえてくるようである。

 

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。