通称「アブラハム合意」:イスラエルとUAE合意 2020.8.15

モハンマド・ビン・サイート皇太子、トランプ大統領、ネタニヤフ首相 出展:wikipedia

昨日世界に電撃的に走った大きなニュース。イスラエルと湾岸アラブ諸国UAEとの歴史的な合意について、トランプ大統領は、「アブラハム合意」として記憶されるべきと述べていた。ユダヤ人(イスラエル)、アラブ人(UAE)、クリスチャン(アメリカ)の3者が合意に至ったからである。

日本ではあまりなじみがないが、これらは、世界では当たり前に知られている聖書の原理に基づいている。

*イスラエルとUAE国交正常化
mtolive.net/アラブ諸国と3国目:イスラエルとuae(アラブ首/

<世界の中のアブラハム:ユダヤ人、アラブ人、クリスチャンの関係>

聖書によると、この世界、天と地、また人間を含めその中にあるものすべては創造主なる神、主によって創られた。しかし最初の人間アダムは、その作品、わが子として愛しいつくしんでおられた神を信頼せず、自分を神よりもかしこい者にしようとして不従順になった。これが、今に続く罪が世に入り込んだ最初とされ、その後、人間は神のもとを離れ、自分勝手な生き方をして、さらに混乱を招くようになった。

その人間を神のもとに引きもどそうとする大計画とその実際というのが、聖書のテーマである。この計画のために、神が選んだのが、アブラハムという人であった。アブラハムの特徴は、神に不従順であった最初の人アダムと違い、神に従順であったということである。アブラハムは言われた通り、生まれ故郷を出て、今のイスラエルの地にやってきた。そこで、神との契約を結ぶのである。

アブラハムに最初の生まれた息子は、エジプト人奴隷で妾のハガルから生まれたイシュマエルであった。このイシュマエルから始まるのがアラブ人であり、そこから出てくるのがイスラム教といわれている。

次にアブラハムに生まれた息子は、神に約束されていた本妻サラの子で、イサクと呼ばれ、その子のヤコブがのちにイスラエルという名をもらうことになる。そこから始まるのがユダヤ人であり、ユダヤ教である。

クリスチャンというのは、神と契約を結んだユダヤ人の教えに基づき、神の前に犯した罪を、イエスキリスト(ユダヤ人として生まれた)が代わりに背負って罰を受けてくれた。だから罪が解消され、だれでも信じる者は、(聖書に書かれた)神との関係を回復できるというものである。

そういうわけで、ユダヤ人、アラブ人、クリスチャンは、みなこのアブラハムから出ているということになり、アブラハムは、このために、すべての人の父と書かれているのである。

しかし、今回の合意が歴史的とまで言われるのは、これまで、アラブ人は、「ユダヤ人は神との契約に失敗。クリスチャンが出てきたが、クリスチャンも失敗。だからモハンマドが来て、最終的に神をアラーとして世に示し直した。」と考えて、先の2者とはけっして妥協しない立場を貫いていたからである。

”神に見捨てられた”ユダヤ人とは決して手を結ばず、クリスチャンは迫害しにくる”十字軍”として警戒し、イスラエルは小さいサタン、アメリカは大きいサタンとして対立姿勢を崩すことはなかったのである。

それが、今回、まともにイスラム教国であるUAEが、ユダヤ教国イスラエルと、キリスト教国アメリカの仲介で手を組んだわけである。まったくありえないことであった。それが今実現したということで、中東の常識と勢力図を変えるのではないかと世界が驚愕し、注目しているということである。

www.ynetnews.com/magazine/article/rJm73Q4zP

正式な署名は、ホワイトハウスで3週間以内とされている。週明けにはイスラエルの代表がアブダビに向かう予定になっている他、すでに、この合意に基づいて、イスラエルとUAEが、新型コロナのワクチンの開発協力に乗り出したとの情報も入っている。

石堂ゆみ

石堂ゆみ

ジャーナリスト、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイド、イスラエル政府公認ガイドとして活動しています。 イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて18年。学校・企業・教会などで講演して15年になります。