パンデミックに振り回されている昨今だが、4日、古代の腸内寄生虫感染を示す考古学発見が発表された。
エルサレム南部のアルモン・ハナツィーブのプロムナードで、2700年前、聖書でいえば、ヒゼキヤ王の時代に遡る第一神殿時代のトイレが発見されたのだが、その下にあった水溜まりにあった堆積物から、4種類の腸内寄生虫の卵の遺跡が発見されたという。
発掘したのは、テルアビブ大学の古代中東文化学部のダフナラングート教授たちのグループである。(以下は国際古病理学会に発表された論文)
www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1879981721000838?via%3Dihub
トイレは、正方形で中央に穴があいているもので、王宮があったとみられるダビデの町でも発見されていたものと同じ形である。
ダビデの町では、その下の物質から、バビロンに包囲されて、食物が底をついていた時とみえ、かなり悲惨なものを食べていたことがわかっている。これを考古寄生虫学と呼び、当時の食事や感染症を知り、時代背景を証明する手がかりになった。
今回発見されたトイレは、紀元前700年ということなので、ヒゼキヤ王の時代ごろまでさまのぼっている。
ところで、古代において、トイレを使うのは、相当に高貴な人に限られていた。
今回のトイレが発見されたのは、ダビデの町と向かい合うところにあるプロムナードで、トイレ以外にも壮大な石の建築物の痕跡もみられることから、王族関係の高貴な人の別荘かなにかであったと考えられている。
そういう高貴な人が、腸内細菌で、腹痛や嘔吐、下痢、かゆみ、栄養失調などの消化器症状に苦しめられていたということである。原因は、不衛生な環境で、食べ物や飲料水に糞便による感染が発生していたと考えられる。
一旦感染すると、治療がない場合は、死に至るか、一生涯苦痛を背負うことになる。社会全体にも感染が拡大していた可能性もあるという。
コロナパンデミックの時に、なんともタイムリーな発見である。。。
www.timesofisrael.com/ancient-toilet-shows-jerusalems-rich-wallowed-in-luxury-and-discomfort/