油断は禁物!?テロ減少傾向 2016.4.11

昨年秋から続いているテロや暴動だが、シンベト(治安諜報機関)は、4月に入り、減少の傾向にあるという見解を政府に伝えた。

報告によると、ナイフによるテロは、最も件数が多かった昨年12月で、117件だったのに対し、この3月は8件。

神殿の丘や西岸地区などでの暴動は、最も件数が多かった昨年10月で842件だったが、この3月は163件となっている。それでもまだ100件以上なのだが、これで通常レベルの件数に戻ったところだという。

この他、銃撃、投石などすべての分野で、件数が減少しているとのこと。こうした減少の傾向は4月に入った今も続いている。

www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/210280#.VwkVjqUWnA8

ネタニヤフ首相は今週冒頭の閣議において、事態が再燃する可能性はまだまあるとしながらも、ここまでの成果をあげた治安部隊を賞賛するコメントを述べた。

エルサレムポストによると、治安部隊は、この半年、西岸地区での緻密な諜報活動と、踏み込み捜査・未然逮捕を根気よく続け、ハマスなどの組織的なテロの計画を予防してきた。これがなかったら、大きな爆弾テロや銃撃テロが発生して大勢の犠牲者が出ていた可能性がある。

次に、一匹オオカミ系のナイフなどによる素人のテロ。これは、前触れがまったくないので、防ぎようがないのだが、イスラエル自身が、パレスチナ放送局などの煽動元を断ち切る作戦に出てから、減少してきたのではないかとみられている。

また、武力による対策一点張りでなく、逆に、パレスチナ人への労働ビザ発行を増やすなどの対策にも一定の効果があったとネタニヤフ首相は閣議で評価している。

また、最近では、パレスチナ自治政府が、イスラエルと協力してテロを未然に摘発しているとの記事もある。これについてはハマスが反発しているというから、実際に協力活動は行われているとみられる。

<今後の対策>

ネタニヤフ首相によると、今後も治安の維持を強化するため、特にエルサレムとアラブ人居住区での法遵守の強化を進めてそれらの地域での犯罪(テロ)発生率を低下させる4年計画(2020年に完了予定)を明らかにした。

それによると、新たに警察官2600人を雇用し、ユダヤ人・アラブ人共存の町に警察署10カ所を増設し、既存する警察署の補強も行う。また、ユダヤ系市民とアラブ系市民の経済格差の緩和なども盛り込まれている。

また、実際に何を意味するのかは不明だが、アラブ系市民とユダヤ系市民の間で、法律の基準が違っているらしく、その改善をすすめて、両者の摩擦を改善する計画とのこと。

www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4789536,00.html
www.jpost.com/Israel-News/Politics-And-Diplomacy/Netanyahu-explains-recent-ebbing-of-terror-wave-450762

<パレスチナ自治政府と電気代>

パレスチナ自治政府は、治安問題でイスラエルに協力しているが、電気代滞納においてもがんばっている。ニュースによると、これまでに滞納している電気代は17億シェケル(約510億円)に上るが、このたび2000万シェケル(約6億円)を支払ったという。

これにより、イスラエルの電力会社は、借金返済にはまだまだではあるが、とりあえず、停電の措置を解除するとした。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。

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