安倍首相の辞意表明を受け、イスラエルのネタニヤフ首相は、「残念」と述べ、安倍首相の元、日本とイスラエルの関係が大きく前進し、日本からイスラエル企業への投資は10倍にもなったと感謝を表明した。
www.timesofisrael.com/netanyahu-laments-japanese-leader-abes-resignation-hails-relations/
*日本からイスラエル企業への投資(ジェトロ) https://www.jetro.go.jp/world/middle_east/il/basic_01.html
38億円(2015)、215億円(2016)、1251億円(2017):田辺三菱製薬がパーキンソン治療薬関連のニューローダム社を買収
90億円(2018)、2億円(2019)
www.nikkei.com/article/DGXLASHD24H1P_U7A720C1000000/
ずいぶん額に差があるが、関西イスラエル貿易事務所によると、昨年度の額については、まだ正確にわかっていないものもあるとのこと。しかし、今年に入ってからは、コロナの影響で、世界中と同じく、投資額は低下する傾向にあるということであった。
<安倍首相とイスラエル>
2014年4月、ネタニヤフ首相が、ビジネスマンたちを同行させて東京を訪問。日本との産業開発、技術開発において、政府レベルで支援していくことで合意した。以来、両国の行き来が活発になっていった。
翌2015年には、安倍首相が、多くのビジネス関係者を同行させて、イスラエルを訪問。イスラエルと日本の技術協力、ならびに経済活動をさらに活発化させる方向で、ネタニヤフ首相と合意書に署名した。
しかし、当時、ちょうどISが活発化していた最中に、イスラエルとの関係強化をアピールした形になり、この件も含めて日本に反発したISが、シリアにいたフリー記者の後藤さんらを殺害するに至っている。
この後、イスラエル大使館は、関西に貿易事務所を開設し、両国のビジネスマッチングを開始。様々な産業イベントも開かれるようになり、日本の大手企業からの、イスラエルへの視察、ならびにスタートアップ企業への投資が急増していった。
2017年には、イスラエルが開催するサイバーテックの国際カンファレンスが、東京で初めて開催された。日本はサイバーテクノロジーで世界に遅れを取っていると指摘されていたため、多くの企業が自社の防衛のためにも、イスラエルのサイバーテクノロジーに目を向けるようになっていたようである。以来、様々なサイバー関係のセミナーや技術支援が、国内でも提供されるようになっている。
こうした動きに伴い、エル・アル航空は、一度廃止にしていたテルアビブ、東京直航便の再開を決めた。ただし、今年3月就航予定になっていた直航便は、新型コロナの影響で、まだ実施はできていない。
www.businessinsider.jp/post-187491
<起きつつある巨人になれるか:日本>
安倍首相がイスラエルとの関係強化を進めるまで、日本は、石油をアラブ諸国に依存していることもあり、イスラエルとの関係においては、韓国や台湾、中国、すべてのアジア諸国に遅れを取っていた。
しかし、安倍首相訪問以来、ようやく日本企業が、イスラエルに目を向けるようになってきたいる。イスラエル企業への投資をネットを介して取り次ぎ、大きな成功を収めているOur CrowedのCEO、メドベッド氏は、「日本は眠れるジャイアンツだ。今それが起き始めた。」と期待を語っていた。
今、コロナ禍の影響で、テレワークが盛んになり、サイバーテックへのニーズはさらに高まっている。また、イスラエルとUAEの国交樹立が、日本にどう影響してくるかも、今後注目される。
余談になるが、安倍首相がイスラエルを訪問した際のデザートが、本物の靴もどきの入れ物に入っていたことが話題になっていた。
日本では、家に入るだけでも靴を脱ぐのに、テーブルに皿として出すとは、ネタニヤフ首相にブタの形に皿に入れて出すようなものではないかと論議されたとのこと。
両国の文化は、180度といってもよいほど違うのだが、その違いで、逆によいチームアップになれたらと思う。