新型コロナ下のヨム・キプール 2020.9.28

Kan Israel news 記事内添付クリップよりhttps://www.youtube.com/watch?v=sejIfJ5mI9I

イスラエルでは、安息日あけて、27日日没(日本時間深夜0時過ぎ)から、ヨム・キプール(第贖罪日)に入った。以下はヨム・キプール直前の様子と、各地を監視する警察の様子。

ヨム・キプールは、通常であれば、宗教的な人だけでなく、世俗派の人々まで、国民の8−9割がシナゴーグや嘆きの壁に行って神の前に出て祈る日である。

しかし、今年は、感染拡大が懸念されることから、政府は、シナゴーグの閉鎖との方針を決めた。しかし、その後の国会での審議では、結局、明確な行動制限を打ち出すことはできなかった。超正統派政党が、シナゴーグを閉めるなら、反ネタニヤフデモの方もとりしまるべきだと反対していたからである。

結果、この安息日、多くの人々はシナゴーグ内には入らず、屋外で祈っていたが、土曜夜の反ネタニヤフデモは、エルサレムだけでなく、テルアビブでも行われた。参加者は1万6000人とも伝えられている。

コロナ担当ガムズ教授は、国民に対し、政府からの指示が、(自分の要請に反して)あやふやなものになっていることを謝罪。超正統派たちに、コロナとの戦いで、屋外で小さなグループでの祈るよう要請。申し訳ないが命を守るためだとして協力を求めた。

ネタニヤフ首相、レビ保健省長官は、こうなった以上、それぞれが自分の身を守るようにと警告を出した。

www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/288001

こうした中、夕方には、イスラエルの二人のチーフラビ、ラビ・イツハク・ヨセフと、ラビ・ダビッド・ラウが、市民たちに、保健省の指示に従い、ヨム・キプールの間、シナゴーグは閉鎖する方針を固め、全国に屋外で祈るようにとの指示を出した。ネタニヤフ首相は、この決断に謝意を表明している。

www.jpost.com/health-science/israeli-rosh-yeshiva-stay-out-of-synagogues-on-yom-kippur-643719

以下のクリップは、からっぽのシナゴーグと外で祈る人々の様子。カン・ニュースのヤイーリー・エティンゲル氏は、以下のように投げかけている。

「今の困難は、どのぐらい続くのか、もう終わりに近づいているのか、まだその始まりに立っているだけなのか。来年の今頃、今のこの状況をどんな風に表現しているだろうか。我々にはまったくわからない。

こんなこと(シナゴーグに集まれないヨム・キプール)はユダヤ人の歴史上起こったことがない。しかし、これは現実だ。今、すべてをリセットして新しくなる時なのかもしれない。」

今日、イスラエルのユダヤ人たちは、断食して、すべての支配者である創造主なる神の前に出ている。この日、ユダヤ教では、出エジプト記34:6−7を読んで、神の13の性質に思いを向けるという。今年は、ヨム・キプールの祈りに実感がこもったのではないだろうか。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。