ロシアのユダヤ機関閉鎖裁判30日延期(9月19日) 2022.8.20

延期を記者団に伝えるユダヤ機関弁護士 スクリーンショット

ロシア司法省が、国内のユダヤ機関が、ロシア市民の記録を違法に所持しているとして、モスクワのバスマニー地方裁判所で閉鎖を求める裁判を起こしている件について。7月28日に、最初の公聴会が行われ、8月19日に、2回目が開かれて、判決が出る可能性もあると予測されていた。

ラピード首相が、もし閉鎖になれば、両国の関係に悪い影響になると述べるなど、緊張の中で注目されていたが、19日、裁判所は、これを30日延期すると決定した。次の公聴会は9月19日の予定である。

以下はユダヤ機関の弁護士がそれを記者団に発表する様子。ユダヤ機関への訴えに関する書類を大量に受け取ったとして、この30日間の間に、精査することができると語っている。

ユダヤ機関の弁護側は、閉鎖回避にむけて、できるだけの妥協はする姿勢で、ロシア側と交渉をすすめる時間をもらえるようにと、裁判所に判決を2ヶ月延ばすよう要請していた。また、弁護側は、この件を裁判所の領域から外して、事務的な領域における話し合いにするようにとの要請を出していたという。

しかし、裁判所は、この件を事務領域に移すことは拒否し、さらに、2ヶ月の延期も拒否して、30日の延期にしたということである。

イスラエルは、法律のエキスパートのチームをロシアに派遣し、弁護団を支援している。また9日には、ヘルツォグ大統領(元イスラエル・ユダヤ機関代表)がプーチン大統領に電話での対談を行い、イスラエル政府からロシア政府への働きかけも行われていた。

www.timesofisrael.com/israel-in-final-push-for-deal-with-russia-as-jewish-agency-trial-opens/

ロシアのユダヤ機関スタッフは、全国9都市に約200人が働いている。これから秋の例祭(9月下旬から)に向けて、様々な活動や、支援活動も行われるが、3回目裁判はその直前ということになりそうである。

www.timesofisrael.com/russian-court-postpones-verdict-in-jewish-agency-case-by-30-days/

なお、ロシアにいる確実にユダヤ人でイスラエルへの移住権を持つユダヤ人は、2022年初頭で約16万人。この他、大きく見て移住できるとみられる人も含めると30万から60万人になる可能性もある。

イスラエル政府のデータによると、ここから7月末までに2万246人が、ロシアからイスラエルへ移住した。2019年1年の移住者数は計1万5930人だったので、今年は半年少しでもうその数値を大きく超えているということである。

また特に3月以降に、ロシアからの移住者の増加が顕著になっている。2月の時点では月平均700人となっていたが、3月からは、月平均3000人と一気に急増した。

ユダヤ機関が閉鎖すると、ロシアからの移住は手続き上だけでなく、経済的にもかなり困難になると予想される。かつて旧ソ連でユダヤ人が出国できなかった時代を彷彿とさせる状態である。今、30日、扉はまだ閉まらないことになった。秋の例祭の前に多くのユダヤ人が、イスラエルに機関できるように祈りたい。

www.jpost.com/diaspora/article-715013

石堂ゆみ

石堂ゆみ

ジャーナリスト、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて18年。学校・企業・教会などで講演して15年になります。