目次
北部国境・シリアとの戦闘:週末の応酬激化
ガザでは、大勢のハマスが投降しており、イスラエル軍はシンワルを追い詰めようとしている。そうした中、10月7日以来、北部国境での攻撃の応酬が不気味に続いている。
AFPによると、これまでの戦闘で、レバノンで、ヒズボラ89人と、パレスチナ人過激派16人、民間人14人の120人が死亡。イスラエル側でも、イスラエル兵6人と民間人4人が死亡している。
イスラエルは今はガザに集中するとして、ヒズボラやその背後にいるイランに対しては、本気で反撃したらレバノンが悲惨なことになるので、イスラエルへ火遊びはやめよと言っている。
それでも、散発するヒズボラからの攻撃に対し、イスラエルは、今の所限局した反撃を行っている。
しかし、ここ数日は、エスカレートする様相にあり、イスラエルがシンワル殺害に成功し、ガザのハマスが一応の崩壊となった時に、北部戦線の炎上がはじまるのではないかとの懸念が出はじめている。
7日(木)は、レバノン国境近くを走っていた車両、ヒズボラが対戦車砲を発砲し、運転していたイスラエル人男性のエイヤル・ウザンさん(60)が死亡した。
この同じ日には、夜にも、レバノンから多数の対戦車砲が発射され、イスラエル兵2人が負傷した。イスラエルは、戦車砲発射地方面への攻撃を実施した。この日は、さらにシリアからもロケット弾が2発発射され、空き地に着弾して負傷者なかったが、ゴラン高原でサイレンが鳴った。
このためイスラエルは、8、9日と連続して、ヒズボラを攻撃。ヒズボラの反撃でイスラエル兵3人が負傷。イスラエルも反撃した。8日の攻撃はシリアにも及んでいた。この攻撃で、シリア兵3人が死亡。そのうちの一人は、シリア軍南部部隊のアリ・ムーサ・ダクドゥク司令官の息子、ハッサン・アリ・ダクドゥクだった。
すると10日、レバノンから西ガリラヤ地方へ、ドローン2基が飛来し、煙と破片を飛び散らせて、イスラエル兵2人が中等度、4人が軽傷を負った。
ヒズボラが、犯行声明を出した。中等度の2人のうち1人は、予備役で従軍していたプロサッカー選手のニヴ・ステイフさんだった。
イスラエルは、レバノンのヒズボラ拠点へ、これまでより規模の大きい、連続した広範囲の反撃を行った。また、シリア国営放送によると、イスラエルは、10日23時ごろ、ダマスカス周辺への攻撃も実施していた。それによると、攻撃はゴラン高原方面から来ていたとのことで、シリア空軍がその地点への反撃を行ったとのこと。
The IDF says it carried out a "widespread" wave of airstrikes against Hezbollah sites in southern Lebanon in response to attacks on the border.
It says the targets include rocket launching sites, military compounds, and other infrastructure belonging to the terror group.
In… pic.twitter.com/NtehehnsfH
— Emanuel (Mannie) Fabian (@manniefabian) December 10, 2023
ハマスとの戦闘落ち着き時が北部戦線激化になるか:ハネグビ国家安全保障担当補佐官
[caption id="attachment_24957" align="alignleft" width="166"] השר צחי הנגבי
צילום: חיים צח / לע”מ
photo by Haim Zach / GPO
イスラエルのハネグビ国家安全補償担当補佐官は、ガザでの戦闘について、終焉がいつとはまだわからないものの、そのトップであるシンワルが、終わる時にガザ内部のハマスは崩壊して、人質も奪回できる可能性が高まるとの見方を表明した。
一方で、それが、北部国境でのヒズボラとの戦争を余儀なくされると語った。
北部国境には、ヒズボラの部隊が構えており、南部国境のように、テロリストが流れ込んでくる可能性がある。こちらは、レバノン側の方が土地が高いので、その危険は前から指摘されていた。
北部国境の住民6万人は、ハマスとの戦闘開始以来、ほぼ全員がすでにイスラエル中央部での避難生活を送っている。
この人々を安心して帰宅させるには、南部国境と同様、ヒズボラの脅威が国境周辺にない形にしなければならないとハネグビ氏は語る。
ハネグビ氏は、ガザについては、17年前(ハマスが支配開始)の時点で、対処しておくべきだったと、その失敗を認め、北部で同じ失敗を繰り返すわけにはいかないと語った。
しかし、ヒズボラは、イスラエル全土に照準を合わせたミサイル15万発を保有しており、もし本当に戦闘になった場合は、今とは比べ物にならないような破壊が、レバノンとイスラエルにも及ぶかもしれない。
もしヒズボラが、その事態を避けるために、外交的にイスラエルと対話するなら、戦争は避けられるが、ヒズボラがそうするとは考えられないとハネグビ氏は語っている。