ヒズボラとの本格的戦争の気配:ハイファでもサイレン 2024.1.20

Smoke billows from a house hit in Israeli airstrikes as flares fall on the southern Lebanese village of Kfar Kila near the border with Israel on January 19, 2024. (Hasan Fneich/AFP)

北部ヒズボラ情勢:これまでの流れ

イスラエル軍は、ガザでの戦闘を、より焦点を絞った戦闘、特に南部へと作戦を移行し、ガザ北部にいる大部隊を一時的撤退させた。このため大規模な空爆といった報道は、少なくなっている。またガザからイスラエルへのロケット攻撃とサイレンの回数も激減している。

一方で、緊張が高まりつつあるのが、ヒズボラとの戦闘である。10月7日以来、ヒズボラは、ガザのハマスに寄り添うとして、国境沿いに小振りの攻撃を続け、イスラエルも反撃する(これまでに750箇所以上)ので、ヒズボラ側に170人以上、イスラエル側にも死者が出ている。

2日には、イスラエル軍が、ベイルートで、ハマスNo2 アロウリをドローンによる攻撃で暗殺。その後、ほぼ毎日のように、ヒズボラによる、ロケット弾、ドローン、ミサイルと、使われる武器もエスカレートしてきた。イスラエルも毎回反撃している。

イスラエルがヒズボラを牽制:リタニ川まで撤退せよ

イスラエルは、今はハマスとの戦闘をしているだけであり、ヒズボラとの戦闘は望んでいないと述べ、もし戦闘になれば、ガザ以上の攻撃となり、レバノンに甚大すぎる被害が及ぶとして、イスラエルには手を出さないよう、訴え続けていた。

しかし、その後も攻撃は絶えず、小競り合いが続いている。北部国境住民約10万人は、もう3か月も帰宅できないままに置かれており、その苛立ちと怒りが、軍やイスラエル政府にまで向き始めている。

この状況は容認できるものではないとして、ヒズボラには、国境から退き、リタニ側以北(イスラエルとの国境から30キロ)まで撤退せよと警告。もし撤退しないなら、こちらで撤退させるとまで言った。

ところが、14日、レバノン側からヒズボラ3人がイスラエルへの侵入を試み、イスラエル軍と銃撃戦の末、死亡。その数時間後、イスラエル北部、クファル・ユバルへロケット弾が発射され、家屋に直撃し、イスラエル人母息子2人が死亡した。

これを受けて、イスラエル軍は、レバノン南部のヒズボラ軍事拠点多数を砲撃した。

すると19日、イスラエル第三の都市、ハイファエリアで、サイレンが鳴った。被害は報告されていない。

www.jpost.com/israel-hamas-war/article-781422

IDF

ガラント防衛相は、「北部国境を視察し、南部で戦闘が続く限り、北部でも続く。ここ数ヶ月の間に、北部の緊張が悪化しており、戦闘が始まる可能性が、急速に高まっている。」と述べた。

www.timesofisrael.com/gallant-warns-crunch-time-with-lebanon-nearing-as-hezbollah-attacks-persist/

米ホフスタイン特使レバノン訪問:ヒズボラは撤退を拒否

caretaker Prime Minister Najib Mikati, in Beirut, Lebanon, January 11, 2024. (AP Photo/Hussein Malla)

状況が緊張していることを受けて、戦火拡大を予防する努力を続けているアメリカは、ホフスタイン特使をレバノンへ派遣。

レバノンは現在正式な政府がない状態にあるので、暫定首相、外務相、レバノンの陸軍司令官、国会議長に面会した。

ヒズボラは、レバノンの政党の一つだが、この対談相手には含まれていないとアメリカは強調しての対話であった。(アメリカは。ヒズボラをテロ組織に指定しているため)

ホフスタイン特使は、ヒズボラが、イスラエルの言う30キロではなく、せめて7キロ北まで撤退するようにという話で交渉を持ちかけていた。しかし、レバノン政府によると、ヒズボラは、30キロ地点は言うまでもなく、7キロ地点までの撤退も、非現実的だと拒否を表明していると伝えた。

ヒズボラはあくまでもガザでの戦闘が続く限り、イスラエルへの砲撃はやめないと言っているとのこと。しかし、レバノンとしても、南部住民を避難させているので、迷惑な話なのだが、如何せん、ヒズボラには頭が上がらないのである。

www.timesofisrael.com/hezbollah-has-rejected-moving-its-forces-away-from-border-us-lebanese-officials/

石のひとりごと

イスラエルは以前より、もしレバノンのヒズボラとの戦闘になれば、ガザのように市民への配慮をする時間はないと警告している。

15万発もの高性能なミサイルが、イスラエルに照準を合わせていることや、ガザ以上の地下トンネルシステムがある可能性が高いので、一気に空爆で、叩かなければならないのである。レバノンという国は廃墟になる可能性も指摘されている。

そんなことになれば、イランやロシアも出て来て、まさに聖書に預言されているゴグ・マゴグの戦い(エゼキエル戦争)になりかねない様相である。

これと合わせて気になるのは、中東での戦闘にアメリカがじわじわ巻き込まれている点。シリアや、イラクでは、ガザとの戦闘が始まってから、駐留するアメリカ軍への攻撃が相次いでいる。さらにアメリカはイエメンのフーシ派との実戦の最中である。

アメリカでは、トランプ前大統領が再選される可能性も出始めているが、トランプ大統領は、以前、アメリカが中東から手を引くとも言っていた。今はどう考えているのだろうか。

もし中東からアメリカがいなくなれば、まさにエゼキエル戦争の形に近づいて行くということだろうか。今の世界情勢は、劇的にどんどん変化している。複雑でもあり、何が起こっているのかを理解するのに必死という状態である。

石堂ゆみ

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。